「文化商店」ワークショップレポートNo.06|パンの耳から作られたビール&ジンを味わう、アップサイクル体験ワークショップ

「文化商店」ワークショップレポートNo.06|パンの耳から作られたビール&ジンを味わう、アップサイクル体験ワークショップ

こんにちは。新規事業開発室(文化商店運営メンバー)の狩野です。

FRACTAは初の試みとなるイベント「文化商店」を2023年9月16日(土)・17日(日)の2日間、原宿駅前のWITH HARAJUKUにて開催しました。文化商店についての紹介はこちらよりご覧ください。

 

本記事では文化商店の催しとして行われた「ワークショップ」の様子を全6回を通してお届けします!文化商店の片鱗、イベントの傍らで催された文化的体験を少しでも感じて頂ければと思いますので、連載的にお楽しみください。

今回が文化商店二日目となる9月17日(日)の最終枠「パンの耳から作られたビール&ジンを味わう、アップサイクル体験ワークショップ」の様子をお届けします。

一日目の最終枠は試飲を交えた焼酎の世界を知るワークショップでしたが、二日目の最終枠も巡り合わせのようにビールという飲料の世界、そして無駄のない未来に紡ぐものづくりによる体験が待ち受けていたのでした。
レポートもいよいよ最終回、最後までお楽しみください!



「文化商店」とは?

文化商店は「まだ見ぬブランド、まだ見ぬ顧客と出会う商店。売り買いするのは、未来の文化。」をテーマに、ブランドを運営する方々との対話や商品購入などを通じて、これから先の未来のために続けている取り組みを体験できるイベントです。

老舗ブランドから、立ち上げ間も無い新進気鋭のブランドまで、総勢26ものブランドに出展いただきました。

会場は大きく3つに分かれ、商品が購入できるブースエリアと、シンボリックな取り組みを体験できるワークショップエリア、そして飲食を楽しむことができるバーカウンターをそれぞれ行き来しながら楽しむ催しです。


パンの耳から作られたビール&ジンを味わう、アップサイクル体験ワークショップ

最後にお届けするワークショップレポートは、文化商店の最終枠に実施された「パンの耳から作られたビール&ジンを味わう、アップサイクル体験ワークショップ」です!

文化商店に出店頂いたBetter life with upcycleさんが実施されたこのワークショップは、日常の食の裏側にある産業の課題に光を照らし、新しい食の可能性に気づいていくような発見型のプログラムでした。

現代人の食生活には当たり前のように存在する「パン」という食料品。私達が日常的に普遍的に手に取るその食料品が生まれる傍らで、製造工程で生まれるロスとなる食もまた生まれている。そんな現実に目を背けず、課題解決を楽しむかのように生み出された取り組みとはこれ如何に?


今回実施されたワークショップも文化商店に出店しているブランドがコラボレーションし、サプライズな出演がありました!

まずは本ワークショップを実施された2ブランドのプロフィールをご覧ください!

ワークショップ実施ブランド|Better life with upcycle(ベターライフウィズアップサイクル)

私たちがつくるサンドイッチ用のパンの耳は、製造工程でロスとして主に飼料・肥料にされています。パンの耳も美味しく食べられるのに、他に何かできないものか…。そんな現場の思いから、パンの耳でビールやジンを作る楽しいプロジェクトを始めました。私たちは、パンをHUBとしたコミュニティから食の未来にゆるやかにアクセスします。仲間たちの笑顔とすべての人の豊かなライフスタイルに向かって。誰もが気軽に参加できるSustainability。

ブランドサイト:https://upcycle-beer.com/


コラボレーションブランド
|ZENB(ゼンブ)

ZENBは、植物を可能な限りまるごと使った食材で、おいしくてカラダにいい、人と社会と地球の健康に貢献する、未来に向けたウェルビーイングな食生活を提案するブランドです。野菜や豆、穀物といった植物のおいしさと栄養を、可能な限りぜんぶ閉じ込めました。動物性原料や添加物に頼らない味づくりで、素材そのもののおいしさを活かしています。

ブランドサイト:https://zenb.jp

創業100年のパン屋が生み出すアップサイクル

さあ、ここからがワークショップのレポート!最終回はどんな体験が催されたのでしょうか?


まずはBetter life with upcycle代表の吉岡さん(以下、吉岡さん)の和やかな挨拶から始まりました。

冒頭では吉岡さんの自己紹介と共に伝えられるBetter life with upcycleの背景。
実は近年はじまったプロジェクト的な取り組みの背景にはなんと創業100年という歴史が!
面白いクラフトビールづくりをする企業と思われて来場された方も多かったのか、会場には驚きの表情もちらほら。

パンづくりの歴史には「耳」といった部位の扱いに悩みがあり、Better life with upcycleはそれを活かす取り組みとして生まれた背景もここで語られました。
柔らかな語り口ながら、そこには吉岡さん達の面白いことやってみようという挑戦心も垣間見えます。

続いてBetter life with upcycleの代表的なビールづくりについてが語られました。パンの原材料となる小麦はビールにも親和性があり、パンの状態になった小麦を活かすビールづくりがBetter life with upcycleの特徴だそうです。言われてみるとはっとしますが従来のビールもパンも麦類が原材料という共通性…!

今日まで行われてきた様々な醸造所とのコラボレーションついての紹介も入ります。
吉岡さん達のビールづくりに共感してくれた醸造所との共創があり、現在提供しているビールも存在するわけですね。

そして画面に映し出されるBetter life with upcycleのクラフトビールたち。
今回試飲で提供される顔ぶれに参加者の期待も高まってきた様子。

ここで実はクラフトビールに続く新たなプロジェクトの話も!

それは世界初のパンの耳から作られたジン
吉岡さん達のものづくりの挑戦は早くもビールから飛び出し、また新たなクラフト飲料へと続いているそうです。パンの耳からそんなにもたくさんの飲料が生み出せるのかと運営もお話を聞き入ってしまいました…

そして、2024年以降は自社醸造所も稼働する予定とのこと!
ニュースに事欠かない吉岡さん達の現在進行系な挑戦。

クラフトビールづくりの物語をじっくり味わうような豊かな時間が広がっていきます。

ZENBが合流

吉岡さんの説明に区切りがついた頃、文化商店一日目のワークショップも開催していたZENBがここでサプライズ合流!

ZENBの森本さん(以下、森本さん)からZENBブランドの紹介も行われます。
ZENBもBetter life with upcycleも余すことなく素材や原料を味わい尽くすという意味で、ものづくりの背景に共通項のあるブランドがここに揃いました。

そんなお話の流れの中で、各テーブルにはZENBチップスがスタンバイ。
森本さんのプレゼンテーションの影響か、参加者は普段あまり注目しない裏面の表示も気になる様子。

そしてキッチン付近では聞き耳を立てずとも聞こえてくるアノ小気味良い液体の音が…
プレゼンテーションの傍らで参加者の皆さんが待ちに待った体験の準備も着々と進んでいます。

待ってましたの試飲タイム!

そうです。お待ちかねの試飲タイムがやってきました。

ここからプレゼンテーションは醸造家の伊藤さん(以下、伊藤さん)に交代。手掛けた自慢のクラフトビールの解説がはじまります。

テーブルには勿論のことプレゼンテーションに伴ったクラフトビール!

醸造家の説明と共に味わえるなんて、運営としてもワークショップ冥利に尽きる贅沢としか思えません。(運営は当然つばを飲み込んで我慢。)

試飲を楽しみしながらテーブル毎に感想を交換する参加の面々。

クラフトビールのお供のZENBチップスを手に取り盛り上がるテーブルに森本さんや吉岡さんも交わり、ユーザーとなった参加者の声にも耳を傾けます。

こういったユーザーの実体験の場でフィードバックをもらえるのもブランド側の貴重な体験でもあります。

会場のテーブルの近くにはしっかりZENBのプロダクトのプレゼンテーションキットも配置。

次に提供されたビールにもすぐに参加者の手が伸びます。

パンから醸造されたとは思えないような豊かな味わいのラインナップ。伊藤さんの緩やかなムードの説明に聞き入りながら、ビールごとの個性の違いを体験した皆さんの表情には満足げながら驚きの色も浮かんでいました。

次の体験はきっと世界初

最後に提供されたのは冒頭で紹介された“世界初のパンの耳から作られたジン”

蒸留の背景やジンの個性も伊藤さんから丁寧に語られます。

ビールは醸造酒ですが、ジンは蒸留酒。製造工程が異なりながらもパンの耳という共通した原料から生み出される飲料。ワークショップが終盤にさしかかっても皆さん感慨深げに話に耳を傾けていました。

締めくくり的にトニック&ライムでジントニックにアレンジされたジンが振る舞われ、皆さんワークショップの最後までBetter life with upcycleのものづくりを体感し尽くしました。

気づいた頃には、いよいよワークショップも幕引き。

ジンに舌鼓をうつ参加者にはなんと豪華なクラフトビールとZENBチップスのお土産まで。(羨ましい)

座学から並走する試飲体験を通して行われたワークショップはBetter life with upcycleのものづくりを体現するような時間だったのではないかと思います。

ただ美味しいというだけではなく、そのものづくりの背景まで気持ちの良いクラフトビールを知る体験。参加した方々の心には、琥珀色の美しい液体と共に未来に向けたものづくりに向き合う心意気まで染み渡ったのではないでしょうか。

これからもBetter life with upcycleとZENBが深く関わっていくであろう食文化の発展に注目です!

参加した方々の声

ワークショップではご参加いただいた方々にアンケートを実施しました。

試飲も交えた体験は和やかに朗らかに幕を閉じましたが、その中で参加者がどのような感覚を覚えたのか、何を得ることが出来たのか。美味しさの背景にある食の課題や改革に真摯に向きあうBetter life with upcycleの姿勢に対する共感が生まれたことはアンケートの回答からも容易に想像が出来ます。

兎にも角にも運営としては参加者の方々に肩肘張らずに楽しく文化の一端を感じてもらことがワークショップの何よりの願いでしたが、アンケートからそんな心配も杞憂なほどに皆さんが楽みながら気づきを得たことが分かり、とても嬉しい気持ちでいっぱいです!

折角ですので、その声を一部抜粋してお届け致します!
※公開許可を頂いたアンケートを掲載しております。

“パンの耳から作ったビール、どんな味がするのか楽しみにしてました!思ったより、ふつうにビールでビックリしました! すごくおいしかったです。特にコーヒーのビールは新しくてとてもおいしかったです。”

“パンからできるお酒をのめて、新しいことを知ることが出き、ワクワク楽しい時間でした。ありがとうございます。”

“初めての味でとても楽しかったです。パンの耳を無駄なく使われるのは素敵だと思いました。小麦のビールは白ビールの様なマイルドな味を期待していたのですが、ガツンと来る味で、良い意味で裏切られました。味わいが色々あって楽しめました。”

“色んな地方とコラボもくり広げてほしいなと思いました!今後も楽しみで、ビール好きな友人にも紹介したいです。”

“商品を試飲できるのみでなく、ブランドが出来るまでの背景や、どのような思いで作っているかという部分を対面でのコミュニケーションを通してより深く知ることが出来ました。ありがとうございました!”

“背影を聞くことで理解が深まった。今後のコラボレーション等も楽しみだなと思いました。ビールはもちろん、ゼンブチップスもおいしかったです。”

“説明をもらいながら試飲もできて楽しかった。このような体験をすることがなかったのでよかった。”

後日談、ワークショップを経てブランドが得たコト

文化商店後にはワークショップ実施ブランドとコラボレーションブランドにも体験談をお聞きしました。ブランドが直接来場者と触れ合うことで得たこと、ワークショップを実施する中で気づいたことは何だったのか・ブランド自身が文化に近づく為に試みたワークショップ経験談としてこちらも是非ご覧ください。

ワークショップ実施ブランド|Better life with upcycle(ベターライフウィズアップサイクル)

多くの熱心な参加者の皆様と接することができ、私たちが想定していた社会ニーズが間違っていないという実感を得ることができました。いただいたご感想は最高の宝物です。

コラボレーションブランド
|ZENB(ゼンブ)

ブランドのオリジンを説明することによって、とても良い反応を頂けたのが印象的でした。納得感と、ビールと合わさったときの相乗効果が見込めたと思います。

実商後記、文化商店に見た景色

Better life with upcycleのものづくりは、従来価値にならずに見過ごされていく食料品の切ない行方を新しい消費という面白さへ変えるような挑戦。文化商店の最後のワークショップはそんな挑戦を在りのまま受け止め楽しむような体験だったように思えます。

今は生活に届けられる衣食住のものづくりの裏側までもが利用者の視界に入る世の中になり、企業のものづくりに対する透明性や誠実さが推し量られる状況は更に進んでいくことでしょう。そんな世の中で生き残る企業、応援されるブランドを考えるとき、今回の参加者のリアクションは一つの答えになるのだろうと思わされるワークショップでした。

社会課題の解決を難しく考えるだけではなく、もったいないという現象をどうやって価値に転換しようと面白がるような軽やかなものづくりの姿勢。真摯でありながら情熱を宿して挑戦を続けていく、そんな心温まる野望の熱が伝わっていく体験。文化商店がそのような機会を生み出すきっかけになれたのではないかと思うと、私達の胸も熱くなります。

今回のワークショップに参加頂いた方々も、またこのレポートを読んでいただいている方々も、まだまだこれから面白い食文化が生まれてくる兆しを感じて頂けましたら幸いです!

今回のレポートを通してBetter life with upcycleとZENBにご興味が沸いた方は、ぜひ以下より2ブランドの活動をご覧ください。


Better life with upcycle(ベターライフウィズアップサイクル)|https://upcycle-beer.com/


新主食 ZENB(ゼンブ)|https://zenb.jp/