FRACTAのアートディレクター/デザイナー アイデアの源

FRACTAのアートディレクター/デザイナー アイデアの源

こんにちは、アートディレクター(以下、AD)/デザイナーの横井です。いつも読んでいただきありがとうございます。

FRACTAのBCR局の記事は毎回「デザイン」という切り口でさまざまなことを語っています。過去に公開してきた記事は、筆者本人の考えや意志が感じられるような、まっすぐなものが多いかと思います。

今回は「アイデアの源は?」というテーマで、BCR局の若手メンバー2名にその源泉を3〜4つ語ってもらうインタビューを行いました。まずは筆者のアイデア源を共有しつつ、メンバーにインタビューした内容をお届けします。「FRACTAではどんな人が働いているのか」と疑問に思われることも多いので、働いているメンバーの人となりが本記事から伝わると嬉しいです。

登場人物

◆インタビュアー

AD/デザイナー:横井香南

横浜国立大学卒業。大学卒業後は、現代アートの制作メンバーとして、フランス・スイス・中国・新潟などに制作遠征する。図画工作の講師なども経験。その後デザイナーとしてキャリアをスタート。FRACTAではこれまでに、MAITUNEつぐもりimness.flagANNASUIのアートディレクション・デザインを担当。

◆インタビュイー

AD/デザイナー:西能優子

武蔵野美術大学建築学科に入学したのち、同大学の視覚伝達デザイン学科に転科・卒業。デザイン会社に勤めやブランディング企業を経て、2021年からFRACTAへデザイナーとして参画。FRACTAで支援したブランドの一つであるmueにおいては、アートディレクション・デザインを手掛けた。

AD/デザイナー:内田大司

多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業後、イラストレーター、デザイナーとしてキャリアをスタート。2020年12月からデザイナーとしてFRACTAに入社し、新時代のお茶ブランドALL GREENのアートディレクション・デザインを手掛けている。

アイデアの源泉、どこにある?

Case 01 Kana Yokoi

まず筆者の普段のインプットについてお伝えします。

私はインプットしようと思ってすることは少なく、自分の心地よいと思う場所に行くことで、頭をリラックスさせています。そういった場所で活力を得て、モチベーションを高めることが、一番のインプットになっています。

左:蔦屋書店によく訪れる。
中央:気に入っているドラマ。
右:最近訪れたヨックモックミュージアム。

01.本屋

「インプットしよう!」と思って行く場所といえば、本屋です。デザインの本も見るのですが、雑誌に載っているインタビュー記事が好きで、つい読んでしまいます。かしこまった文章を読むのは気力がいるのですが、インタビューは人の話を聞いている感覚で読めるので好きです。そういった話から、普段自分が疑問に思っていたことが、パッとクリアになることもあります。

02.海外ドラマや映画

登場人物が着ている服や住んでいる部屋の色使いなど、独特の雰囲気からインスピレーションを受けている気がします。英語に詳しいわけではないのですが、セリフを聞いて引っかかった言葉を調べてストックします。

デザインのコンセプトを作っていくときに、絵と言葉を繋げながらイメージを固めることもあるので、外国語独特の言い回しからイメージや発想を広げることもあります。過去にネーミング提案をした際は、ドラマで得た知識をもとに提案した案が採用され、役に立った覚えがあります。

とは言え、高尚な目的はなく、ただおもしろいので見ています。

03.美術館

展示自体ももちろん好きなのですが、美術館という空間が好きです。天井の高い感じや、白い壁の感じも好きです。館内のベンチに座るのも好きですね。

以前たまたま立ち寄ったニコライ堂も、天井がぐんと高い感じが好きでした。天井が高いところにいると、何かホッとする感じがします。

旅行に行った際も、その土地の美術館には行くようにしています。デサインやチラシなど、ひとつひとつデザインが凝らされていて、文化が大切にされている雰囲気が好きです。

いつか自分もこういう仕事をしたい!と活力を得られたりもする場所ですね。

 Case 02 Yuuko Sainou

Q:西能さんのアイデアの源泉はどこにありますか?

西能:便利さから離れることですね。普段パソコンの画面ばかり見ているので、そうではないものに触れることが、アイデアの元になっています。


画像左:登山中に野生の鹿を見た時の写真。
画像右:毎朝訪れる林試の森公園での一枚。

01.自然

自然があるところに行きます。近所の公園や、山登りやダイビングなど、アクティブな大自然にも行きます。林試の森という公園には、毎朝行っています。

もう少し若い時は、美術館や展覧会が好きでしたが、大人になって変わってきました。自然は作られていない美しさがあり、人工的な手が入っていない場所に魅力を感じます。

人の手が加わっていないものからインスピレーションを得ていますね。

02.散歩

土日はなるべく外を歩いています。海が見たいと思い立って、有明まで海を見に行ったこともあります。昭和の人は歩いて遠くまで行っていたという話に影響を受けました(笑)

途中でおやつ食べたりしながら、歩けるときは2時間でも歩きますね。音楽も聴きながら歩きます。

街の中にあるデザインを見るのが好きで、撮り溜めています。学生の頃から好きで、一冊の分厚い本にまとめたこともありました。

参照:Yuuko SainouのWebサイト

03.ライブや音楽

ここ最近は、特にリアルな体験を重視するようになりました。ライブやフェスは、自然も都市もどちらも好きです。

音楽は、歌詞があると意味を汲み取ろうとしてしまうので、あえて日本語ではないものをよく聞いています。歌詞が入ってない曲か、海外の言葉が分からないものを聞きますね。

言葉よりも、音が好きなんです。


横井:インタビューしてみると、普段の業務ではなかなか知ることができない素顔が見えてきました。西能さんは好きなものや良いと思うものがはっきりしていて、芯がある感じがします。元気でどこか大胆なデザインをする方ですが、そういった感覚を開いたインプットがあるからなのかもしれません。

 Case 03 Taishi Uchida

Q:内田さんのアイデアの源泉はどこからでしょう?

内田:元々インプットは好きで、映画を見たり、本を読んだりするのが好きです。美術館には意識して行くようにしています。デザインのためにインプットをすることは少ないかもしれません。


左:撮り溜めているフィルム写真。文字の配置に惹かれる。
右上:Feedlyで情報を手に入れる。
右下:Podcastは作業のお供。

01.写真を撮る

フィルムカメラで写真を撮るのが好きです。素人なのでピンボケなどもありますが、楽しいです。iPhoneで撮って加工したものではなく、フィルムで撮るのが好きですね。やっぱり質感がちょっと違うんですよね。

フィルムはその場で見れないので、運任せなところが好きです。現像が楽しみなんですよね。いざ出てきたのを見るのが、好きですね。10枚しか撮れないフィルムで、渾身の10枚を撮ることもあります。

被写体としては色味、看板文字、形、山を撮ることが多いです。自然物というか、人が作ったものより、そういうものの方が好きです。カメラで撮ろうとすると、景色をちゃんと見るようになるんです。何を面白いと思うのか。そんなものを探しています。

撮った写真は現像して、Instagramの写真アカウントに投稿することもあります。よかった写真は、それを元にイラストを描くこともありますし、友達や家族の写真を撮って、その人にあげたりもします。

また、友達と撮影会をすることもあります。最近では、朝倉彫塑館という美術館に行きました。大正時代の建物に突然彫刻が現れるおもしろい場所で、おすすめです。

02.Podcast

Takram、ジブリ汗まみれ、Lobsterr、低空飛行など、デザイン以外にも色々と聞いています。会話しているほうが作業が捗るタイプなので、主に作業をしながら聴くことが多いです。Podcastで人の会話が耳に入ってくるのは好きですね。デザインしているときは視覚を奪われるので、耳を使ってリラックスさせています。

03.音楽

デザインを作っていて、「こういう雰囲気で行こうかな」というときに、音楽を聴いてイメージを作ることもあります。デザインのトーンを作るときに役に立っています。

04.Feedlyを見る

Feedlyは好きなWebサイトを登録しておくと、更新された内容がタイムラインになって見れるサービスなんです。時間が空いた時や息抜きに、Feedlyを眺めていたりします。


横井:話してみると内田さんは好きなものがたくさんあると感じます。すごくオープンな眼差しで世界を見ていて、それが内田さんの作る、明るく穏やかな世界観にも表れているような気がします。


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インタビューは以上です。

デザイナーたちのアイデアの源泉は、思っていたよりもデザインとは関係ない、日常的なものだったかもしれません。ただ、ひとが作る以上、デザインはその人が経験したことやその人が良しとすることから作られるものだと思います。ですので、FRACTAではブランドらしさを表現することを大切にしていますが、デザイナーらしいデザインというのも大切だと、私は思います。

インタビューからその人の個性や考え方、どんなふうに景色を見ているのかなど、相手の個性を窺い知ることができ、私にとっても勉強になるインタビューでした。

FRACTAで働く人の内面や、デザイナーのアイデアの源泉について参考になりましたら幸いです!