中小企業にブランディングの効果はある?成功事例から学ぶ効果とその重要性

中小企業にブランディングの効果はある?成功事例から学ぶ効果とその重要性

「売上が伸びない、、そもそも課題が何かわからない」

「社員の意識がバラバラで進むべき先が統一できていない」
「リピートしてくれる顧客がいっこうに定着しない」

企業やブランドからそういった声を日々多くお聞きします。
その時に鍵となってくるのがブランド力を高める「ブランディング」です。

本記事では、特に中小企業で働く皆さん向けに「ブランディング」とは何か、どんなことをして、どんな効果があるのかを網羅的に解説していきます。
さらに、中小企業における「ブランディング」の効果と重要性を詳しく解説します。
日々運営をしていく中で何かしらの悩みや課題にぶつかっている方に、ぜひ改めて「ブランディング」を知っていただき、その重要性を感じていただけたら幸いです。

そもそも、「ブランディング」ってなんだろう?目的や種類を解説

「ブランディング」って、何を指すの?どんな目的で行うの?

突然ですが、あなたはどのような人ですか?もしくは、第三者にどのような人だと思ってほしいですか?少し考えてみてください。
では、友人や知り合いに同様の質問をした場合、あなたに対する印象はどのようだと思いますか?

「自分がこう思われたい」と想像していた印象とほとんど同じ回答が返ってくれば、きっと嬉しいと思うはずです。逆に、自分が想像していたものとは全く別の角度で回答が返ってくれば、「(例えポジティブな回答であっても)あれ?どうしてそういう考えになったんだろう」と首を傾げてしまうかもしれません。
このような自分が想像していた印象と全く違う印象を持たれていた、という経験をした方は少なくないのではないでしょうか。

個人の話を例に出しましたが、企業という大きい括りでも同様のことが言えます。自分たちは「こういう会社でありたい、こういう会社として進んでいきたい」と思っているのに、なぜか相手にそれが伝わっていない。そもそも「こういう会社でありたい」が、社員によってバラバラだったり、進んでいきたい方向性も明確ではない、という根本的な課題もそこには潜んでいます。

そのギャップをできるだけ減らすために、自社の「こうありたい姿」を明確にし、適切に伝えていくことで、第三者が「抱いたイメージ」との差異をなくして、最終的にはポジティブな感情を持ってもらい、ファンになってもらう。それが「ブランディング」の大きな役割です。

ブランディングの分類をご紹介

ブランディングには大きく分けて2種類あります。

いわゆる一般的なブランディングは「エクスターナル(=外側の)ブランディング」と呼ばれ、社内向けのブランディング活動と言われているのが「インターナル(=内側の)ブランディング」です。近年は、「インターナルブランディング」に対する注目度も高まり、FRACTAでもインターナルブランディングについてご相談いただく機会が増えてきています。
ここでは、その2種類のブランディングについて解説していきます。

エクスターナルブランディングとは?

エクスターナルブランディングとは、企業やブランドが外部(=顧客や消費者、取引先など)との関係を深めたり、印象を形成したりするプロセスとしてのブランディング活動を指します。

インターナルブランディングとは?

一方インターナルブランディングは、企業やブランドが社内のメンバーやステークホルダーに向けて行うブランド構築やブランドマネジメント活動のことを指します。企業のブランドや価値観、ビジョンを明確に伝え、共有するプロセスです。

エクスターナルブランディングとインターナルブランディングの違いはなに?

先ほどお伝えした概要の通り、「誰に向けたブランディングか」が大きく違う点にあります。一方で、インターナルブランディングとエクスターナルブランディングは密接な関係にあり、切り離して考えるよりも地続きで考えていく方が良い、という考えもあります。
そのような考え方から、本記事では2つのブランディング活動をまとめて「ブランディング」と総称しています。

▶︎関連記事:「インターナルブランディングとエクスターナルブランディング、境界線はどこにあるのか

中小企業のブランディングってどんなことをするの?プロセスを解説

新しく企業やブランドを立ち上げる場合も、既存の事業がある場合も、ブランディングは重要です。ここでは、中小企業のブランディングについて、具体的にはどんなことをするのか手順に沿って解説していきたいと思います。

STEP1:市場調査

競合分析・顧客ニーズの把握・市場トレンドの把握
市場調査はブランディングプロセスにおける基本的なステップです。企業やブランドが事業を展開する市場や競合状況、顧客のニーズを理解するために必要です。

STEP2:ブランド戦略

ポジショニング・ターゲット顧客の定義・ブランド価値の設定
市場調査の結果をもとに、企業やブランドをどのように位置付け、どのような方針で展開していくかを決定します。

STEP3:言語化

ブランドメッセージの構築・ネーミング・タグライン設定
企業やブランドを言葉で表現し、共有するプロセスです。企業やブランドが明確で一貫性のあるメッセージを社内外に伝えるために行います。

STEP4:視覚化

ロゴデザイン・ビジュアルアイデンティティの統一
企業やブランドの視覚的な要素を開発するステップです。企業の特徴や価値観を表現するロゴデザインや、カラーコード、フォント、画像の使用など一貫性のあるビジュアルアイデンティティを確立します。

STEP5:定着

ルール策定・インターナルブランディング・レギュレーション策定・ローカライズなど
最終的なステップでは、STEP4までに構築された企業やブランドを市場に定着させ、顧客やステークホルダーに浸透させるためのプロセスです。

中小企業がブランディングするメリット4つ

それでは、ブランディングがどのような効果をもたらすのか、特に国内でもほとんどを占める中小企業にとって、どのようなメリットがあるのかを4つ解説していきます。

中小企業がブランディングするメリット4つ

  • 社員の育成やスキルアップに繋がる
  • 業務の効率化が進む
  • 将来的に進むべき方向性が明確になる
  • 売上が伸びる可能性がある

①社員の育成やスキルアップに繋がる

こちらは先ほどお伝えしたインターナルブランディングを強化することで得られやすい効果です。
ブランディングは企業やブランドの核となる価値観や使命感を社内に浸透させるための重要なプロセスです。ブランディングを通じて社内のメンバーが企業やブランドの価値観に共感し理解することで、明確な目標に向けて協力しやすくなります。この共感と理解が社内メンバーの使命感を高め、結果としてメンバー個々に対する育成、スキルアップに繋がっていきます。

また、ブランディングは一過性のものではなく、常に変化する市場や競合環境に対して形や見せ方を変えて適応していかなければなりません。そこでは継続的な学習や成長の機会を得ることが必須となってくるため、結果として社内メンバーのスキル向上に繋がっていくと言えます。

②業務の効率化が進む

ブランディングを行うことで、企業やブランドは自身のポジショニングや強みを把握し、それに基づいた戦略を立案することができます。指針をもった戦略は、業務の方向性を明確にし、無駄な方針転換を減少させることで、結果的に業務の効率化を図ります。

また、ブランディングには一貫性が求められます。企業やブランドが定義したブランドガイドラインに基づいた表現やコンテンツ制作は、効率的にかつ一貫性のあるアウトプットを生み出しやすくなります。これがマーケティング資材やプレゼンテーション、コーポレートサイトやブランドサイトなどの制作を迅速化し業務効率の向上に寄与するでしょう。

③将来的に進むべき方向性が明確になる

ブランディングを行う上で、必ず定める「ミッション(企業としての使命)」「ビジョン(企業の理想像)」「バリュー(企業の具体的な行動指針)」。これらが浮き彫りになることで、経営陣や社内メンバーは今後企業やブランドがどの方向に進むべきかを共有しやすくなります。組織全体の方向性を定義することになるので、その目的に沿って将来的な目標や戦略を明確にすることができます。

④売上が伸びる可能性がある

おそらくここが、皆さんにとって一番知りたいポイントなのではないかと思います。なぜなら「結局ブランディングしたところで、効果ってあるの?」そのような言葉を耳にすることも多いからです。
日々企業やブランドのブランディング支援を行なっているFRACTAとしては「はい!絶対に売上が上がります!」と言えないのが正直なところです。正確には「`すぐに`売上が上がります!」と言えないということです。つまり、何をもって「ブランディングが成功した」と言えるかは、企業やブランドにとってバラバラだということです。

ブランディングは長期的な視点で考えることが前提であり、即時的に結果を期待したり、一過性でもいいから突発的に売上を上げたい、と期待されたりしている方にとっては「あれ?」と思うような結果になってしまうかもしれません。

それでもブランディングを行い、それが市場に浸透した時には莫大な効果を発揮することになります。認知度の構築から新規顧客の獲得につながり、信頼性を高める一貫性のあるメッセージと行動がファンの獲得へと繋がっていくのです。それが結果的にはリピート購買の促進につながり、売上向上に繋がっていくでしょう。

ただし、つねに念頭に置いておくべきことは「ブランディングは長期的な投資である」ということ。それゆえ目に見えた効果が出る前に時間がかかります。ですから、第一にその意識を企業・ブランド全体で持つということが最も大切なポイントなのです。

【業界別】中小企業のブランディング事例

それでは、中小企業でブランディングを実施した事例を業界別にご紹介します。ブランディング、もしくはリブランディング実施に至った背景から、ブランディングを実施したことによる具体的なアウトプットなど、ぜひ自社への参考にしてみてください。

【アパレル】RICCI EVERYDAY | 株式会社RICCI EVERYDAY

ウガンダ発のファッションブランド「RICCI EVERYDAY」。アフリカンプリントの中でも、ひときわカラフルな生地を使用し、デザイン性のみならず機能性も兼ね備えたバッグやインテリアアイテム、アパレルを展開しています。
2015年8月に創業し、5年目の節目を迎える2020年にこれまでの事業を振り返り、顧客や作り手の女性たちにとっての本ブランドの価値提供の見直しを目的にリブランディングを実施。

ロゴやコンセプト、タグラインを刷新し、日本やウガンダといった地域にこだわらず、世界中の女性が社会的通例や固定観念を乗り越え、本来のありたい姿を見い出し、実現できる世界を目指す、新たなメッセージを発信しました。

▶︎関連記事:ウガンダ発のファッションブランド「RICCI EVERYDAY」、5周年を迎えリブランディングを実施

【食品】MAITUNE | アクティブ合同会社

長野県佐久市で作られる幻のお米「五郎兵衛米(ごろうべえまい)」。玄米の持つ豊富な栄養成分と健康効果をおいしく、自分らしく取り入れてほしいという思いを持つアクティブ合同会社の藤原氏がスタートした玄米ブランドです。本ブランド立ち上げにあたり、ブランディングを実施。まずは数ある玄米ブランドのなかで、独自性を形成するために、試飲会や成分分析を行い、そこで得た体験や気付き、これまでの知見や経験をブランドコンセプトや商品企画に反映しています。

ブランドの根幹となる「玄米には全てのベースとなる健康を、無理なくおいしく自分らしく実現してくれる力がある」という思想から、商品を「MAI(=米・自分My)」「TUNE=整える」という意味合いで「MAITUNE」とネーミング。玄米を通じて自分の毎日を整えていくことを表現しています。

▶︎関連記事:自分らしい、未来の健康を提案する。玄米ブランド新規立ち上げ

【コスメ】ORBIS | オルビス株式会社

カタログ通販からスタートし、昨年35周年を迎えたビューティーブランド「ORBIS」は2018年からリブランディングを実施。

薄れつつあった企業の提供価値と顧客とのつながりや、これまでのターゲット層としていた顧客がブランドを卒業していったという課題を元に「ブランドの思想を体現する商品」として新商品「オルビスユー」を立ち上げ。同社の原点に立ち返って、さらに強化していくことを意識し、これまで掲げてきた「スマートエイジング®️」という提供価値は生かしながら、顧客だけでなく社内での意識改革も実施した事例です。

▶︎関連記事:リブランディングから5年。変化を経て見えたオルビスの価値と「さらなる進化」に向けた3つの課題

まとめ:中小企業こそ、ブランディングを。

ブランディングの重要性は、社員の意識統一や認知度の向上、リピート顧客の獲得など、さまざまな側面で効果を発揮することがわかりました。中小企業という規模感だからこそその効果が発揮しやすく、ブランディングを通じて差別化し、信頼性を築き上げ、市場での競争力を高めることができます。

ブランディングは一過性の取り組みではなく、長期的な視点での投資として捉え、戦略を進めていくことが重要です。企業の成長と継続的な成功に向けてブランディング実施を検討してみてはいかがでしょうか。

FRACTAでは、企業やブランドの支援をしています。

  • 新規ブランドの立ち上げや既存ブランドのリブランディングを検討しているが、具体的なステップが分からない
  • 自社でブランディングを進めているものの、このままでいいのか不安を感じ、客観的な視点が欲しい
  • ブランドの魅力を伝えるための言語化や発信、クリエイティブへの落とし込みに難しさを感じている
  • ブランド運営において、自社で自走できるようにしたいが方法が分からず悩んでいる…etc.

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