つぐもりの循環ができるまで(第3章・前編)

つぐもりの循環ができるまで(第3章・前編)

こんにちは、CSV局のナルトンです。
FRACTAがブランディング支援を行い、2023年7月にカフェ&宿泊施設をオープンした「つぐもり」プロジェクトのキックオフからローンチまでを全5回に分けてお届けする本シリーズ。

前回までの記事はこちら
▶︎「つぐもりの循環ができるまで(序章)
▶︎「つぐもりの循環ができるまで(第1章)
▶︎「つぐもりの循環ができるまで(第2章)

シリーズ最終章となる今回は前後編に分かれ、前編ではオープンしたつぐもりをFRACTAのプロジェクトメンバーと実際に訪問し、現地の様子をお届けするとともに、会長の土屋順子さんと社長の土屋香南子さんに、オープン後の反響についてお話しいただいた様子をお届けします。

後編ではつぐもりプロジェクトでも順子さんと深い関わりのあったガーデナーの和久井さんにお話をお伺いした様子をお届けします。

佐久平駅を降りたその先に待っていた景色

東京駅から新幹線で約1時間15分。軽井沢駅から1駅先の佐久平駅がつぐもりの最寄駅。降りた瞬間から、都内の空気とは明らかに異なる澄んだ空気と涼しさに癒されながら、タクシーに乗車し、つぐもりを目指しました。

到着すると、まず目に留まったのがつぐもりの看板。そして、広いスペースにも関わらずほとんど埋まっている駐車場。平日お昼の時間でしたが、少し外から様子を見ていただけで、何組もの人が入っていく姿を見てその盛況ぶりに驚きました。

到着してすぐに圧倒されたのが、佐久平の景色です。
お伺いした日は生憎曇り空で、八ヶ岳をはっきりと目にすることはできなかったのですが、それでもつぐもりから一望できる佐久平の景色を目の当たりにして、「この景色を独り占めしたくなかった」と順子氏が仰っていた訳が理解できたような気がしました。

カフェには、メインメニューのカレーやソフトクリームなどの甘味、そしてオリジナルのドリンクやコーヒーなど、様々なシーンで楽しむことができるラインナップの数々があります。

メニューは、FRACTAからお渡ししたデザインガイドラインをもとに作成されたのだそう。色味やフォント、配置など、つぐもりのトンマナをベースに、つぐもりの想いやWebサイトへの誘導を促すQRコードなどが掲載されていて、ブランド自身で思考を凝らし作成された背景が見えてきました。

私は大きな窓から佐久平や八ヶ岳の景色が一望できるカウンター席に座り、カレーをいただきました。味はもちろんのこと、カフェの中で流れる時間や雰囲気、そしてこの景色に、すっかりファンになってしまいました。

つぐもりの敷地内には、カフェの外に椅子やテーブルなどもあるので、食事を楽しんだ後にデザートを外で食べながら、空気や景色を感じられることも、つぐもりならではの楽しみ方だなと思いました。

オープン後の反響

カフェでの時間を堪能したあとは、順子さんと香南子さんとお会いし、オープン後約2週間の反響についてお伺いしました。

—オープンおめでとうございます!(取材当時)オープンして約2週間が経ちましたが、反響はいかがですか。

香南子氏:オープンして最初の日曜には100人以上、その後の三連休の中日には160人ものお客さまがいらっしゃいました。オープン前は、お客さまの来店がなかったらどうしようという不安が大きくて、Instagramのエリア広告をしたり、プレスリリースを打ったりと、できる限りのことはしましたが、いざ蓋を開けてみると想像以上の数だったので、嬉しい悲鳴でしたね。

順子氏:多くのお客さまを目にした時に、この景色を見たい人や、この場所に行きたい、と思っていた方が潜在的にこんなにもたくさんいらっしゃったんだな、と驚きました。
この景色に惚れ込んでつぐもりプロジェクトをスタートしましたが、ビジネスとしてうまくやっていけるかどうかは、(A.Y.Judieとは)異業種ということもあり全く予想が立てられなかったので、まずは本当に嬉しかったです。あとは、良いスタッフにも恵まれました。A.Y.Judieのスタッフも応援に来てくれて。中には前職でホテルの清掃経験があるメンバーもいて、その経験を活かしてつぐもりでも宿泊施設の準備を推進してもらっており、良いスタッフに恵まれましたね。

そうした状況もあり、まだまだ足りていない部分も多く、カフェがお休みの日も仕込み作業なのでてんやわんやしています(笑)ですが、庭を整備してくれる方や、隙間時間を使って朝手伝いに来てくれる方、トマトやきゅうりなどこの地で採れた新鮮な野菜などを販売してくれる方。そういった、つぐもりに必要な人々が適材適所集まってきたな、という実感があります。皆さん、得意や好きを活かして自発的にやってくださるんです。

—つぐもりのサイトを公開した時のまわりの反応はいかがでしたか。

香南子氏:びっくりされました。(笑)特に地元で関わっていた方には、順子の個人カフェという印象を強く持たれていたんですが、サイトやロゴなどしっかりしたものがあるというのを知って驚きがあったんだと思います。

オープンしてから、お客さま側の視点を体験するという目的で、カフェで時間を過ごしたことがあるのですが、メニューにあるQRコードからつぐもりのサイトを見て、「宿泊もやってるんだ」「こんな場所なんだ」と話をしているお客さまがいらっしゃったのは嬉しかったですね。

順子氏:オープンしたばかりなのに、読み物が充実していて驚いたと言われました。構想段階から2年半の想いが詰まっているので、年月をかけて段々と具現化していった様が伝わっていると良いなと思います。あとは、発信力が格段に上がったなと思っています。核となるサイトがあるから、メディアを通じて広がっていきますし、それに本当に好きな人や共感できる人が、わざわざ遠方からも訪れてくれるんだろうなと。

まとめ

つぐもりプロジェクトで一貫していた現地訪問の大切さ。それを、筆者自身が体験できたことで実感できたような気がします。この地に実際に立ってみることで感じる空気や音、目の前に広がる美しい景色は、他では感じることができないつぐもりの魅力でした。

訪問時はオープンから約2週間という期間でしたが大盛況で、すでに何回も通っているというリピーターのお客さまもいらっしゃるのだそうです。「また行きたい」と思わせる魅力がつぐもりにはありました。

後編では、遊び心に溢れたつぐもりガーデンを手がけたガーデナーの和久井さんと順子さんの対談インタビューをお届けします。

第3章後編▶︎つぐもりの循環ができるまで(第3章・後編)