つぐもりの循環ができるまで(第2章)

つぐもりの循環ができるまで(第2章)

こんにちは、CSV局のナルトンです。
FRACTAがブランディング支援を行い、2023年7月にカフェ&宿泊施設をオープンした「つぐもり」プロジェクトのキックオフからローンチまでを全5回に分けてお届けする本シリーズ。

前回の記事はこちら
▶︎「つぐもりの循環ができるまで(序章)
▶︎「つぐもりの循環ができるまで(第1章)

1章では、つぐもりプロジェクトのキックオフからブランドコンセプト・ロゴデザイン決定までのプロセスを、FRACTAプロジェクトメンバーの視点から振り返りました。2章では、どのようにサイトを構築していったのか、実装に至るまでを振り返り、後半には土屋順子さん・香南子さんの視点でFRACTAとのプロジェクトを振り返っていただきます。

サイト設計

—Shopifyで構築することはプロジェクト当初からの方針だったのでしょうか。

FRACTA プランナー眞喜志(以下、眞喜志 ):事前に順子さん・香南子さんとはすり合わせを行いました。事前にいただいた要件の中に、物販・コンテンツ配信・宿泊機能の要望があったので、そうした要件はShopifyで実装可能なこと、またA.Y.JudieプロジェクトでShopifyを活用いただいていたこともあり、FRACTAからShopifyを提案し、実装に向けて取り組みました。

今回のサイトではコンテンツの比重が他の機能に比べて高いように感じます。サイトマップの初期段階からこのような構成を意識されていたのでしょうか。

FRACTA ディレクター 米田(以下、米田):元々コンテンツを重視したいという要望を頂いていました。そのため、ページ内の読み物とイベントは厚めに見せるように設計しています。大枠はできていたので、それをどのように見せたらターゲットとする顧客に響く内容になるのかは、順子さんと香南子さんからいくつかアイディアを持ってきていただき、その上でディスカッションを重ねました。

眞喜志:つぐもりプロジェクトは、順子さんやそのほかに関わってくださっている方々も含め、ストーリーや想いがたくさんあったので、読み物はそれらを顧客に伝えるための良い手段となったのではないかと思います。

サイト構築〜実装

—サイト構築・実装の上で大変だったポイントやこだわりのポイントを教えてください。

米田:初期段階のデザインでは、宿泊希望者がすぐに予約できるよう、画面の右端に「宿泊予約について」というボタンを追従させるのはどうかと提案していたんです。宿泊施設のサイトでもよく見かける機能ですが、順子さんから「宿泊施設だけが強調されるようにはみせたくない」というお話があり、そのボタンは採用しませんでした。そこから、サイト全体を通してフラットに情報を並べてサイトを訪れた人が気になる情報を好きにみてもらう、好きな場所で楽しんでもらうというつぐもりの思想を反映した設計となりました。

眞喜志:最初の要件整理に時間をかけましたね。土屋さんから「これをやりたい」というアイディアをたくさん出していただいたので、その中で一つのサイトとして何を目立たせるべきか、をとても考えました。あくまでフラットな見せ方にしつつも、どこに何を置けば、伝わりやすいサイトになるか、コンテンツの棲み分けが大変でしたね。

つぐもりプロジェクトを通じて

—ここからは、A.Y.Judieの土屋順子さんと香南子さんにお話をお伺いします。改めてつぐもりプロジェクトを振り返ってみて、初期段階から変化したことについてお聞かせください。

順子氏:景色を見てほしい、つまりある程度の時間をつぐもりで過ごしてほしいという思いは元々ありました。森の整備を始めてからは、景色がより綺麗に見えるようにガーデンをつくったり、ゆったりした時間を過ごすならお茶が飲めるといいなと思ってカフェをつくったりと、景色を中心に人の集まるものは何かを考えてつくってきました。最初から全部計画をして進めていったわけではなく、その都度その都度、必要になったらやってみようというスタイルで進めていきましたね。

香南子氏:カフェについてはつぐもりの循環となるコミュニティとしての役割ももたせていました。単なるカフェにしてしまうと、サービスの提供側と受け取る側(顧客)で分断されてしまうと思うのですが、つぐもりではその垣根を超える人のつながりを生むことを考えていました。2年前から時間をかけて森の整備を開始して、つぐもりに関わってくださっている人の数が増えてきたんですね。中にはボランティアでやってくださる方もいました。そこでコミュニティ感だったり、つぐもりの循環がどうあるべきか、という考え方の軸が出来上がってきたような気がします。いつも同じメンバーがいるような閉鎖的なコミュニティにもしたくなかったので、その点も意識していました。

—今回、FRACTAのプロジェクト伴走は2回目となりましたが、全体を通してFRACTAメンバーへの感想などお伺いできればと思います。

順子氏:プロジェクト開始当初に、FRACTAメンバーの皆さんが来訪してくださった時がありました。実際に現地を歩いて見てわかってくれるというのが、空気感などの理解も含めてとても大事だなと感じています。あの時間があったからこそ、期待値以上の提案を頂けたのではないかと思います。

香南子氏:私も来訪によってプロジェクトが格段に進めやすくなったなと思いました。あの時間があったことで同じ目線で話せるようになったので、一つ一つの発言が伝わりやすくなった感じがありましたね。こちらのやりたいことに対して、事例の共有や他社サイトの調査など、要望に合わせて必要な情報を提示してくれたこともよかったです。その情報に基づいて、こういうコンセプトにはこういうサービスが、表現が、パーツが必要で…といった提案がとても多くて、そのおかげで私たちがやりたいこと以上のものが得られたと思っています。

まとめ

「つぐもりの良さを共有したい」

そのために実現したいことに溢れていたお二人の想いを紐解き、サイトやコンテンツ機能へと落とし込んでいきました。ここでもポイントとなったのは現地訪問を実施したこと。

サイト構想時も順子さん・香南子さん、そしてFRACTAの共通イメージとしてつぐもりの風景が浮かび、同じ方向を目指してプロジェクトを推進できました。

次章では、オープンしたつぐもりを訪問し現地の様子をお届けし、またつぐもりプロジェクトでも順子さんと深い関わりのあったガーデナーの和久井さんにお話をお伺いした様子をお伝えします。

第3章▶︎つぐもりの循環ができるまで(第3章・前編)