共創によって成長の伸び代を生み出す。ブランドコラボレーションの可能性〜後編〜

共創によって成長の伸び代を生み出す。ブランドコラボレーションの可能性〜後編〜

こんにちは、FRACTA 事業開発室の狩野です。今回は、先日お話したブランドコラボレーションの後編です。

前編では、ブランドコラボレーションの定義と、市場環境における新規顧客獲得の難度が上がっていることについてお伝えしました。今回はブランドコラボレーションの好事例と、コラボレーションがもたらす価値と可能性について解説します!

ブランドコラボレーション。それは成長の伸びしろ

コラボレーションは新規顧客との出会い、支持する顧客の確立に寄与する。それが現代ビジネスにおける光だとすると、更にそこで何故「ブランドコラボレーション」なのか?

FRACTAが着目しているブランドコラボレーション。後編となる今回は、その価値にスポットを当てたいと思います!

コラボレーション。それは当然ながら支持者の多いブランドと組むことができれば期待できる顧客候補との接触数が大きくなり、更には販売のような形態であれば得られる利益の期待も大きくなる。しかし、その一方でコラボレーションの組み合わせや取り組み方によっては、一次的な利益と引き換えにブランドの消費といったリスクも同時に起こりえるのです。

コラボレーションにおいて重要な視点は、それがお互いの支持者にとって意外性があり、且つ喜ばしい組み合わせなのか?ということです。

価値観への共感、相互理解と尊重

コラボレーションがもし親和性のないブランド同士の組み合わせによるものであったり、時流を狙いすぎて自ブランドの文脈を組めていない話題作りになってしまった場合。それは一時的に新たな顧客との出会いや利益の創出ができたとしても、内情を見ると数字に影響したのは求めているところと全く異なる顧客であったり、取り組み以降にその顧客はぱたりとブランドを再訪しなくなる。

更には元々いた顧客がブランドの元を離れている。なんてことが起こり、コラボレーションは結果として一過性の波となってしまい、中長期的な観点で見るとむしろブランドの損耗になってしまった。なんてことにもなりかねません。このような事態は避けたいものですね。

そんなリスクを回避する意味でも、コラボレーションはお互いの価値観に共感すること。組み合うブランド同士の調和が取れていることが大切なのです。 

土屋鞄製造所の公式サイトより引用:

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000271.000007557.html

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000307.000007557.html

価値観に共感するということはブランドがお互いを理解し尊重することに繋がっており、何かしらブランドとして共通する思想やビジネス上の補完しあえる条件を持っているということでもあります。

そのようなブランド同士であればこそ、自然と利害も越えた関係性でリスペクトし合ったコラボレーションが成り立ち、双方が無意識にも意識的にもブランドを毀損するようなことは起きず、必然的に高め合う方向を目指していけるはずです。

お互いのブランドがバランス良く結びつき、リスクを取り払って高め合える関係性こそがブランドコラボレーションであり、ブランドに長く関わるFRACTAが着目しているコラボレーションの姿なのです。

ブランド同士の世界観を拡張するコラボレーション

そして、ブランドコラボレーションは支持する顧客を喜ばせるだけではなく、ブランド自身の伸びしろを生み出す取り組みでもあります。これがFRACTAがブランドコラボレーションに着目している最たる理由です。

バランスの良いコラボレーションはブランド同士の世界観も崩さず、むしろ世界観の拡張にすら繋がります

ブランドコラボレーションはブランド同士が交差することで、一方のブランドが持つ属性が一方のブランドに付与される。そのような実績をつくることに繋がります。

バランスのとれたブランドコラボレーションはお互いのブランドの世界観の整合性や一貫性を上手く保った状態で成り立ち、ひいては新たな一面を描く。

支持者は今までの気持ちを裏切られることなく、支持するブランドが拡張するような感覚によってポジティブな印象が湧き上がり、世界感や価値の拡張に対しても納得感を持つことができる。

ブランド単独では拡張が難しかった分野への進出やものづくり、社会課題への適応。ブランドコラボレーションにはそのような難解な扉を開く力があります。この拡張力こそがブランドコラボレーションが創出できる本質的で象徴的な価値です。

まとめると、ブランドコラボレーションは以下のような結果をもたらします。



「1.相互送客 / 新規顧客獲得」は成長課題で触れた通り、難易度も上がり費用対効果も見込みづらくなっているマーケティングにおいて分かりやすい解決策になるでしょう。

中長期の視点をもってみると「2.属性拡張」はFRACTAが着目している点でもあるブランド単独の成長限界を突破する糸口になります。

そして、挑戦的な取り組みは結果的に「3.PRの相乗効果」をもたらします。

「3.PRの相乗効果」は双方のブランドの支持者へのサプライズだけではなく、メディアの注目も集め、全く新しい顧客を呼び込む呼び水になります。メディアの興味を集めることもできれば、ペイドメディアへの予算投下を行わずにPRが成立する形にもなります。

 ブランドコラボレーションの好事例

近年は本当にブランドコラボレーションが様々な形で実現されています。同属性のコラボレーションから異業種とのコラボレーション。更には同業種同分野のコラボレーションも発展し、注目を集めた事例が次々と生まれています。

ここでFRACTAも注目したコラボレーションの事例もいくつかご紹介しましょう。


Apple ✕ Hermès

公式サイトより引用:https://www.apple.com/jp/apple-watch-hermes/

テックとファッションを交差させることで双方のブランドのステージ認識も合わせた事例です。コラボレーションの当初、賛否両論も巻き起こしたことは記憶に新しいのではないでしょうか。分野も歴史も異なるブランドの組み合わせ。ですが、この難しいコラボレーションは伝統と革新の邂逅として様々なブランドに影響を与えたことでしょう。


丸山珈琲 ✕ Minimal

公式サイトより引用:https://www.maruyamacoffee.com/news/5511/

親和性が高い商品を介し、スペシャルグレードを支持する顧客にサプライズを提供した例です。コーヒーとチョコレートという相性の良い組み合わせながら、双方共に「スペシャリティ」というグレードの共通の品質文脈を大切にしており、また生産背景との繋がりも重視するブランド同士の組み合わせとあって支持者にとっては嬉しい出会いだったことは想像に難しくありません。


allbirds ✕ adidas

公式サイトより引用:https://www.allbirds.jp/pages/allbirds-adidas-futurecraft-collaboration

これは同カテゴリ商品を手掛ける新興企業と伝統企業が手を取り合う意外性により注目を浴びた事例です。一見シューズブランド同士の共創のようですが、allbirdsは自社が手掛ける素材を提供しており、adidasはやはりシューズメーカーとしてのボディをつくりあげるというところで上手くバランスをとった例でもあります。


Snow Peak×中川政七商店×茶論

公式サイトより引用:https://www.nakagawa-masashichi.jp/staffblog/blog/b906/

自然や人間味のある趣味に向き合う顧客のウェルビーイング思考が共通して実現したのではと思われるコラボレーション例です。日本らしいブランドが手を取り合い、日本文化を体現する。このような日本を代表するブランド同士のコラボレーションも懸念では活発になってきています。


Ploom X|Q BOX

公式サイトより引用:https://fracta.co.jp/blogs/projects/ploomx

手前味噌ですが…FRACTAも関わったプロジェクトの一例です。Ploom Xが旗手となり、ブランドのテーマを様々なブランドと手を取り合うことで体現したプレゼンテーション型の取り組みです。Q BOXは封入される商品(ブランド)が一体何になるのかがわからないというセレンディピティを誘発するサプライズな体験をデザインし、非常に好評を得た取り組みになりました。

このように、ブランド同士のコラボレーションは最早当たり前のようになった今日ですが、ここまで様々な観点で紐解いてきた通り、ブランドビジネスはD2Cという分野が花開き新たなブランドの誕生で市場が賑わった一方で、個々のブランドの成長環境は厳しい状況になりつつあります。

しかし、その先にはブランドコラボレーションという一筋の光が差し込んでいます。

 

前編では「コラボ」というワードが2000年代から急速に伸びているという点も取り上げましたが、「ブランド」というワードを付与した「ブランドコラボ」はより堅実で堅調な伸びが動向に現れており、一過性に留まらない市場やブランド、そして顧客の着目も伺えます。


※Goole Trendsにて「ブランドコラボ」で検索した結果。

ブランドコラボレーションもおいそれと簡単に実現できる選択ではありません。ブランドの結びつきにこそ思想や世界観、独自性といったブランドの把握が必要です。ですが、しっかりとブランディングに向き合っていくことで、その引力が同志となるブランドを引き合わせるはずです。

 
いざ、ブランド共創時代へ

久々の執筆だったので長々と書き起こしてしまいました…ここまでお付き合い頂きまして誠にありがとうございます!!!

それでは最後に。

これから更にテクノロジーは発展し、また様々なブランドやメディアが生まれ、生活者は情報の渦の中で限られた時間の中で最適な選択を行う時代が加速していくことでしょう。

そのような時代で生き残るブランド、顧客と共に成長し続けるブランド、それは単一の個性や魅力だけで輝くのみならず、同じ価値観や世界観を持つブランドと肩を組み、強く吹き付ける時代の風にも立ち向かえる共創力のあるブランドだと私達は考えます。

2022年、そして2023年。本当に年々何が起こるかわからないような社会変化の中で、ブランドは自らの顧客とコミュニティを超え、仲間となるようなブランド同士のコミュニティまで生態系を拡張し、生存力をより確固たるものに磨き上げる必要が出てきているのではないでしょうか。

この先に何が待ち構えているか誰もが予想しきれない未知なる時代。

ブランドの挑戦、それは共創へ。

これからはブランドも繋がり合い大きな旗を掲げていきましょう!


ブランドコラボレーションが気になる方へ

FRACTAは今期よりブランドコラボレーションを支援する新しいサービスを起ち上げます。ブランドとブランドが消費せずにお互いの価値を高め合う共創を描く、新しいサービスです。

現在鋭意サービス準備を進めておりますが、限定した形で特別条件など設けて先行提供もさせていただいておりますので、もしご興味のある方はコーポレートサイトのコンタクフォームからお問い合わせ、または私のTwitterまで是非ご一報ください。