こんにちは!今回の記事の担当は新規事業開発室の狩野(かりの)です。
実はFRACTAは2023年6月から始まる11期より、新規事業開発の為に新しい部署を立ち上げることになりました。ではそんな新しい部署でどのような新規事業の開発に取り組んでいくのか?それがまさに今回お伝えするブランドとブランドの共創であるブランドコラボレーションです。
FRACTAは、これからの時代のブランド成長にはブランドコラボレーションが必要不可欠で重要な選択肢となる。また、ブランドコラボレーションはブランドが健全且つ持続的に成長をする為の希望になる取り組みだと考えています。
そんなブランドコラボレーションについて今回はお伝えしていきます!
ブランドコラボレーションって何?
昨今ブランドのコラボレーションが盛んに行われていることを感じている方も多いのではないでしょうか?歴史を振り返ってみればコラボレーションは現在のような流れが訪れる以前よりたくさんの取り組みが存在しています。
例えばファッションであれば、ユニクロとジルサンダーのようなハイファッションとライフスタイルファッションが手を取りあった+J。
公式プレスリリースより引用:https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/corp/press-release/2021/03/21030311_21ssplusj.html
インテリアですとANNA SUIとFrancFrancという異業種の組み合わせもあり。
公式オンラインより引用:https://francfranc.com/blogs/feature/annasui_home
周囲を見渡してみれば、そういえばこれもコラボレーションだったな…と思い当たるのではないでしょうか!
また、記憶に新しい取り組みではジムビームとケンタッキーのような食分野のブランド同士によるコラボレーションもありましたね。
ジムビーム『今日、ジムタッキーにしない?』篇 57秒 賀来賢人 サントリー
他にも大小様々なコラボレーションが活発に起きていますが、そんな中でもFRACTAが新規事業として支援に掲げている「ブランドコラボレーション」とは何か?
ブランドコラボレーションは、大きなコラボレーションという枠組みの中の一つの形式にあたると考えており、FRACTAでは現時点で以下のように定義しています!
“支持する顧客がいるブランド同士がそれぞれの価値観に共感し、お互いが持つ独自の価値を相互作用させることで、ブランド自体の文脈や信用を消費せずに新たな価値や相乗効果を生み出し、双方の顧客のみならず社会にも驚き・意外性・好感といったポジティブな印象を与える取り組み”
広義のコラボレーションは一方が商品や資本を提供する形で成り立つものや、インフルエンサーやアーティストのような人物、キャラクターやデザインといったIPのようなアセットとブランドが組み合う場合もあり、本当に多様な形式が存在します。
その形式の一つでもありFRACTAが着目しているブランドコラボレーションは、ブランド特有の技術力やクリエイティビティをかけ合わせて新たな商品の開発や共同のPR活動などを行うことで、1社では成し得ないアウトプットを生み出す取り組みであり、ブランドの個性やブランドらしい価値を相互作用させることで成り立つ共創の姿です。
数あるコラボレーションの中でも、ブランドがお互いの価値観に共感し、ブランドを支持する顧客や独自の価値を接続する形式がブランドコラボレーションの特徴です。
これはある種の価値の等価交換でもあり、現代市場を生き抜くために利害関係を超えてブランドとブランドが手を取り合った共闘とも捉えることができます。
コラボレーションの期待の裏側、現代ならではのブランドの成長課題…
ブランドコラボレーションについての理解を深めていただくためにも、話を一度広義のコラボレーションに移しましょう。実はコラボレーションは以下のように一時期より急速に注目度が増加している傾向にあります。
※ちなみに「コラボレーション」で検索すると右肩下がりの結果となりますが、これは「コラボ」という短縮ワードや文脈が市場に普及した影響が現れているものと考えられます。
この傾向からコラボレーションは単純なムーブメントに留まらず、生活者や企業の期待を集め、市場や時代が必要としている流れも少なからず感じとれるのではないでしょうか。
FRACTAではコラボレーションの伸長、その期待や注目は、現代ならではのブランドビジネスの成長課題を打開することにあると推測しています。
では、その成長課題とは何か。
課題を捉えることがコラボレーション、ひいてはブランドコラボレーションの価値を理解することにも繋がりますので、続けて掘り下げていきましょう!
FRACTAでは歴史のある企業から、近年誕生したばかりのスタートアップ、そして様々な分野のブランドを支援してきました。今も多くのブランドに伴走しています。
その伴走に基づく経験、自社で行っている独自のリサーチ。また、様々なメディアや調査機関で取り上げられている情報から、現代はブランドビジネスの成長難易度が上がり続けていると考えるようになりました。
成長難易度が上がっているとはどういうことか…
それは、新規顧客との出会い、顧客の支持確立が難しくなっている、ということです。
影響しているのは以下のような背景です。
1.消費者セグメントの変化・ニーズの多様化
これはローランド・ベルガー社のこちらの発信にも分かりやすくまとめられています。
社会発展に大きく寄与したインターネットの普及により、メディアやSNSといった生活者の視聴対象は多様化が進み、またそこで取り扱われる情報の分野も膨大に広がり続けています。生活者の可処分時間は広告やTVといった過去の主要メディアから他の選択肢に分散。セグメントは増加する一方、属する人数は小規模化していっているという状況ですね。
2.情報最適化による偶発的出会いの低下
これもまたテクノロジーの発展によるところ。特にSNSは各社のアルゴリズムにより状況提示の最適化が進んでいます。これはAが好きな人はA’も好きだろうという好みを汲み取った配慮でもありますが、Aの人はBやCもしくはZといった趣向違いの情報と偶発的に出会いづらくなっているということでもあります。つまりセレンディピティ(思いもよらぬ素敵な偶然の出会い)が起こりづらいということになります。
3.投資対象の増加・複雑化によるマーケティング費用の増大
これはブランド運営に属する方だけでなく、いち生活者としても感じることではないでしょうか。ある種の広告媒体にもなりえるSNS・メディア・アプリケーションは日々増える一方、それらをビジネスで扱う人は予算の配分に悩み、利用する人にとっては何を視聴するかに悩む。日常は可処分資産を割り振ることに追われているのではないでしょうか。
これら3つの要因が影響し合うことで、ブランディング及び市場や生活者を理解して最適なアプローチを行うべきマーケティングの難易度は上がり続けています。それが現代ならではのブランドの成長課題、顧客獲得の高難易度化となって現れているのです。
これらはブランドビジネスが置かれる社会や市場、ブランドの成長環境が大きく変化していることを表しています。それは生活者にとっても同様で、ブランドに求められる価値やスタンスが時代に伴って次の様に変化してきたと捉えることが出来ます。
ブランドビジネスに限らず、現代はインターネットの発展によりD2Cのような形で生活者とビジネスサイドを繋いでいく道が直結的に開かれ、成長の為の選択肢は広がりました。一方で、その選択肢の多様化によって成長難易度が上がるというジレンマが発生しているという状況です。顧客獲得の費用対効果が悪くなっている、ということですね…
では何故その反面コラボレーションが伸びているのか。何故コラボレーションは成長課題を打開できるのか。ということに話を戻していきます。
一定規模のブランドであれば支持者となる「顧客」がついている。そしてその顧客がついているブランドからすれば、その顧客がどのような属性の人々かを概ね捉えているはずです…
はい、そうなのです。
コラボレーションに期待されている価値。それは、新たな顧客に出会いたいブランドにとって、その顧客がついているブランドと組むことで直接的に顧客候補と繋がることができる。ということです!
複雑な読解を必要とする市場や媒体の検討を一足飛びに越えていくことができる。それがコラボレーションであり、それは顧客と繋がる為のプロセスが複雑化する現代におけるブランド成長の一つの光明です。そのような点からコラボレーションは注目を集めていると考えられます。
ここまでブランドコラボレーションの定義と、市場環境における新規顧客獲得の難度が上がっていることについてお伝えしました。
後編では、ブランドコラボレーションの好事例と、コラボレーションがもたらす価値と可能性について解説します。
後編は7月31日(月)に公開予定です。