一人ひとりの「好き」を応援する丸井が『刀剣festival』を通じて拡張させる、個人の“好き”と共創のエコシステム

一人ひとりの「好き」を応援する丸井が『刀剣festival』を通じて拡張させる、個人の“好き”と共創のエコシステム

左から)FRACTA ディレクター 新井、丸井 山下さん、FRACTAアートディレクター 大野

「すべての人が『しあわせ』を感じられるインクルーシブな社会を共に創る」をコーポレートミッションに掲げる丸井グループ。顧客のニーズに合わせた商品や体験を企画する同社が今年新たに取り組んだ刀剣festivalにおけるチャレンジについて、FRACTA共創チームとの対談を通してお届けします。

今回は株式会社丸井 EC事業部の山下 莉奈さん、FRACTAのディレクター新井/アートディレクター大野にお話を伺いました。

ーまずは刀剣festivalプロジェクトについて教えていただけますか?

山下さん:刀剣festivalは、その魅力を多くの人に伝えたいという想いから、刀剣を所蔵する全国8施設の美術館や博物館などとコラボレーションしたイベントです。私が所属する部署はECが専門なのですが、来館者を増やして刀剣の魅力を広めたいと考えている施設に対して何か取り組みができないかと考えたことがプロジェクト発足のきっかけです。

お客さまが直接来館することは難しくても、ECでのグッズ購入を通じて刀剣の応援ができる。そしてオンラインだからこそ、地域の垣根を超えた取り組みになると考え、まずは所蔵されている刀剣=文化財の掘り起こしを行いました。そうして施設へお声がけをした結果、これまでは1施設のみとのお取り組みだったところ、山形から九州まで全8つの施設にご賛同いただき、規模を拡大したイベントの実施が実現しました。

https://voi.0101.co.jp/voi/content/01/sp/event/touken/index.html

ー今回のプロジェクトをFRACTAにご依頼いただいたきっかけについて教えてください。

山下:今回は施設が増えることもあり、新たな挑戦として今までにないデザインをつくっていただける会社を探していました。そんな折に、弊社の別プロジェクトがFRACTAさんと取り組んでいることを聞き、その実績からも信頼できると感じてお願いしました。

ー新しい挑戦とは具体的にどのようなものを想定されていたのでしょうか?

山下:これまでのイメージを覆すようなビジュアル面での刷新です。毎年同じようなものではお客さまにご満足いただけないですし、従来のデザインでは興味がなかった方でも興味をお持ちいただけるような新しい世界観を届けたいと考えていました。

ーデザインで表現したいと考えていたことはどんなことでしたか?

山下:デザインのテーマとして考えていたのは、刀剣が好きな人々の“推しに貢献したい気持ち”に対するおもてなしです。施設に訪問して実物を見に行ったり、グッズを購入したりすることで自分の推しを応援する人々を、丸井が応援するような、感謝の意を表すものにしたいと考えていました。まずは私たちからこんな表現にしたいというデザインの骨子をお送りし、それをFRACTAさんに具体的なかたちへと落とし込んでいただきました。

大野:刀剣には既存のファンが多いこともあり、ファンの皆さまに純粋に楽しんでもらえるデザインにしたいと考えていました。そのためには刀剣それぞれにまつわる逸話とデザインの結びつきが必要だと感じていましたが、逸話については抽象度の高い話も多くありました。それらを美術館などの学芸員の方々にも監修いただき、歴史上の事実に基づいたデザインとなるよう検証を重ねていきました。

デザインの方向性はこれまでの刀剣に興味のなかった方にも関心をもってもらえるような華やかでかわいらしい雰囲気をいくつか提案し、山下さんと練り上げていきました。その過程で前述した刀剣にまつわる要素をモチーフに取り込み、ユーモアも織り交ぜた表現へと発展させました。

ー提案された候補から今回のデザインを採用した決め手はどんなところにありましたか?

山下:刀剣の背景にあるストーリーが史実を含めて反映されており、パターン展開をしていく際にも世界観の統一が担保できることでした。デザインを各アイテムに展開するときには、刀剣ごとによる違いも表現する必要があります。それぞれが同じものだと受け取られることなく、共通の世界観を描けるデザインだったこと、刀剣そのものをモチーフとしただけではない刀剣への深い理解を感じたことなども良いと感じたポイントです。

実はデザインをお願いする最初のタイミングで、刀剣に関する膨大な資料もデザインの参考としてお送りしていたのですが、その中からデザインとしてアウトプットすべき要素を第三者視点で引き出していただけたことも、表現の幅が広がった一因だなと感じています。

大野:私が考えていたのは、種類の多い刀剣を包括して統一感を演出できるデザインシステムをつくることでした。デザインを実際の商品に反映いただく部分は各メーカーさんが担っていましたが、一つのデザインを切り出して別のグッズに展開するなど、うまくご活用いただけたなと感じています。

ー今回のデザインについて、ファンの方々からの反響はございましたか?

山下:今回丸井としてははじめて刀剣にまつわるX(旧Twitter)を開設しました。そこでお客さまのリアルな声をいただくことができたのですが、「すごいかわいい」というコメントを非常に多くいただきましたし、デザインに仕組まれた刀の史実など細かいところに気づいてくださる方もいて。楽しんでいただけている様子を実感できました。また、施設の情報を丸井のアカウントから発信することで、間接的に施設のPRを実施できたことも結果的に良かったと感じる部分でした。

新井:施設とお客さまのハブとしての機能を丸井さまが担っていたのですね。

刀剣festivalのXアカウント

ー今回のプロジェクト、ご依頼から開発までかなりスピーディーに進行していました。ポイントはどんなところにありましたか?

山下:私たちの意図を汲み取りつつスピーディーにご対応いただけました。頭の中のイメージが整理されてアウトプットしていただけたのがとても良かったです。施設の方もこんな表現があるのかと新たな気づきを得られたようでした。

新井:丸井さんにはタイトなスケジュールのなか、各施設の方々への確認作業も迅速に実施いただきました。FRACTAでは確認の往復を最小限に留めるよう、細部までこだわったデザインモチーフをすみずみまでチェックしてご確認いただくように心がけました。

ー最後に、刀剣festivalを通じて丸井さまが今後目指していることを教えてください。

山下:刀剣festivalにおいては、刀剣の魅力をより多くの方々に知っていただき、施設へ足を運んでもらうきっかけづくりができたと感じています。今回のイベントを通じてご参加いただく施設も増えましたし、新たに参加を希望してくださるところもありました。今後も、来館を増やしたいと考えている施設があれば、取り組みを拡大して共創していきたいと考えています。

丸井のなかでは、今回のプロジェクトはグループ方針「一人ひとりの『しあわせ』を共に創る」に基づいて企画した取り組みの一つです。個人の“好き”を応援する立場としてお客さまの視点に立ち、ほしいものや体験したいものを提供する。今回、エンドユーザーへの体験提供はもちろん、刀剣を所蔵する施設や文化財への支援にも繋がっていき、改めて自社の利益追求だけではない、共創関係から新たな価値が生まれることに意義があると個人的にも実感しました。


ー山下さん、ありがとうございました!

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今回のプロジェクトは、施設さまと丸井さま、FRACTAの共創によりスピーディーにデザイン開発を実現した事例となりました。FRACTAが丸井さまの想いをデザインに落とし込み、施設さまと情報の正確性を検証しながら、ファンへ届けていく。CXを高めるためにどうあるべきかをチームで議論できたことが、短期間で目指すものをつくりあげられた大きなポイントでした。

FRACTAでは今後もプロジェクトを通して、クライアントとその先にいるお客さまに新たな価値を提供できるよう支援していきたいと思います。


プロジェクトで開発したデザインの詳細はぜひ事例ページよりご覧ください。

▶︎プロジェクトの詳細:https://fracta.co.jp/blogs/projects/touken-festival

 

(撮影/高野 春香 取材・文/花沢 菜摘 編集/CSV局)