いいロゴデザインてなんだろう

いいロゴデザインてなんだろう

こんにちは。クリエイティブチームリーダーでアートディレクター/デザイナーの大野です。

今日、6月5日はロゴマークの日らしい。
ブランディングを語る上で欠かせないものの一つがロゴの話。
ある種ロゴはブランディングにおいて王様のような存在感を放っています。
そのブランドのキャラクターや思想が色濃く反映され、周囲からの認知を担うものでもあり、短くて数年、長くて数十年使い続けるもの。。。作る側としてはかなりの緊張感をもって挑む、恐ろしくもやりがいのあるもの。
今回はそんなロゴデザインのお話です。

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いいロゴデザインとはどんなものだろう。

世の中にある数多のブランド、会社、サービスなどほとんどのものがロゴを持っています。
みなさんの頭に思い浮かぶのはどんなロゴですか?
きっと思い浮かんだロゴは良いロゴですね。

ではそれ以外はどうでしょうか?
世の中にはいろんなロゴがあると思います。そこにはいろいろな考え方があると思います。マークがある方が良いか?文字だけの方がいいのか?色は使うべきか?などなど。
ブランディングのお手伝いをしている中でも聞かれることがあります。
対象とするものを象徴する存在なのは確かにそうです。それは前提として、、、

いいロゴデザインってなんだろう。

そんな漠然としたテーマについて今回はデザインの観点から書いてみようと思います。

そもそも

ブランドの起源は放牧している家畜に自らの所有物であることを示すために自製の焼印を押したことと言われています。ロゴについては古代メソポタミア文明の「円筒印章」が最も古いロゴという話もあります。その後ヨーロッパの紋章や日本の家紋などずーっと続いてきたもののようです。あの社会の教科書に出てきた「東インド会社」にもロゴがありました。
そのどれも自分たちと他者を識別するための装置として機能・進化してきたのではないでしょうか。
IBMのロゴなどを手がけたCIデザインのレジェンド、ポール・ランドはこう言いました。

「ロゴデザインの必須条件は、区別しやすいこと、記憶に残ること、明瞭なことだけだ」

いつかこんなこと言ってみたいです。
ロゴデザインを考えるときにこれは一つの真理のように感じます。
なのでまずはこの三つについて考えてみます。

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区別しやすいこと

これは成り立ちと目的からして重要なのは明らかではないでしょうか。
他と混同しないものであることはまず最初に意識すべき要素です。
形であったり色であったり書体であったりアイディアであったり。それぞれの工夫をこらしてこれを実現しています。しかし言うは易し、過去から現在まで数多のロゴが生まれている中でそれらと区別されるものを作るというのはなかなか痺れる作業になります。しかし時代と共に状況が変わることによって識別のためのポイントもまた生まれてきているとも考えられます。上記の必須条件を満たせばそれ以外はもっと自由と捉えると、ロゴの可能性はまだまだ広がっているとも言えるのではないでしょうか。

一方、近年ロゴの没個性化が疑問視されることもあります。これについては後述したいと思います。

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記憶に残ること

区別がつけば覚えやすくもなります。独自の形で強い印象を残せればそれだけ記憶にも残るでしょう。
そしてもう一つ、よく耳にするのはロゴにまつわるストーリーが重要だという話。
有名なロゴには色々ストーリーがあって、例えばamazonのA to Zやappleの禁断の果実みたいな話がありますね。確かにそういう話を聞くとなんてよくできた話なんだと誰かに教えたくなりますよね。
こう言ったストーリーにはロゴを強く定着する効果が見込めます。視覚に対して意味を紐づけて覚えるためです。ロゴのデザインを考えるときには「それが何を表しているのか」といったようなこと考えるのは効果的と言えるでしょう。

近年ではユーザーがブランドに背景を求める傾向がより強くなっています。
ブランドがどう言う考え、思想をもとに活動をおこなっているか、共感できるかが購買行動を左右するとも言われています。そういう意味でもロゴからそのようなメッセージを読み取れることは表現の選択肢の一つになり得る手法だと言えます。

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明瞭であること

上記のストーリーを込めることが有効なのは間違いないものの絶対的な正義ではありません。

ロゴの対象がなんであれ、そこには色々な思いや考えが詰まっていることが多いです。
それを全て入れ込むとかえって言いたいことがぼやけて伝わりにくいものになりがちです。
ロゴがブランドのコミュニケーションの一つであるなら「明瞭であること」は価値があることです。

例えばロゴデザインに意味やメッセージを詰め込んだとします。
しかし通常ユーザーはその説明を聞くことができません。
ブランドやコーポレートのロゴであればそういった話を受け取りに来てくれる時間が見込めるので、色々意味を持たせるアプローチは前述の通りとても有効です。しかし触れている時間が短いサービスや商品などのロゴはそこまで複雑な情報を汲み取ってはくれないかもしれません。

もっと言えば、何かを意味していることがさほど重要ではないこともあります。
例えばadidasのロゴといえば3本線というのは誰でも思い浮かべることができるかと思いますが、その意味を話せるひとはどれくらいいるでしょうか?
この3本線はむかし革製のスポーツシューズが伸びてしまうのを3本のバンドで補強したことに由来します。シンプルで誰でも簡単に思い浮かべることができる明瞭な印が認知されブランドがスタートしていきました。
adidas=3本線というのが強固に結びついているのは、ロゴに込められたストーリーではなく明瞭さに基づいてブランドが時代を重ねてきたことにあります。

この例は少し極端な例ですが、ロゴが果たすべき役割の一つを示唆しているようにも思います。
デザイナーがロゴをデザインをするときにその意味やストーリーや関係性は必ず考えますが、何もロゴのみにブランドやサービスの全てを背負わせる必要はありません。
あくまでロゴはタッチポイントの一つであり、ストーリーと同じくらい明瞭であることも大事になってきます。

重視すべきは伝えるべきポイントを見極め、それがどのように機能するかを意識することだと考えています。

現代のブランディングにおけるロゴの在り方

これまで書いてきた3つの要素を基本的なベースとして、現代のロゴの在り方についても考えてみましょう。
前述のロゴの没個性の話に戻りますが、近年ハイブランドのロゴタイプのサンセリフ化やテック企業がそれに追随するように軒並みシンプルなものに変化していることが話題になっています。
一部で没個性化が疑問視されることもありますが、なぜそのようなことが起きているのでしょうか。ここに現代のロゴの考え方のヒントがあるように思います。

考えられる理由は3つ

・さまざまな媒体に対応するため
・洗練されていくデザイン
・ブランドのアイデンティティの持ち方の変化

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・さまざまな媒体に対応するため

デジタルデバイスの普及によってそれに適したシンプルな形になってきているということ。クリーンで読みやすい書体や形はデバイスを選ばすいつでも統一した印象を与えることができます。この考え方は現代のロゴにおいて見逃すべきではない観点の一つです。
ファビコンやアプリになったときなど、小さなサイズでの明確な視認性を最初から検討しておくことは、ロゴ決定の一つの大切な材料になり得ます。

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・洗練されていくデザイン

洗練というのは必要なものだけを残し磨き上げるという性質から、ある意味普遍的な形に落ち着くのは必然的な側面もあります。ブランドは認知を広げるタイミングではある種の特徴づけが必要な側面もありますが、成長するにつれて、目立つことから信頼の獲得へ必要性が変わってくることが影響しています。
信頼はいびつな形よりも普遍的なものの方が親和性があるため、成長と共に一見すると近しい印象に落ち着きやすい傾向があります。

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・ブランドアイデンティティの持ち方

色々なブランドが生まれ色々な魅力的なサービスが生まれる過程で、ブランドを象徴するものがロゴからブランド体験そのものになっている傾向があります。
ブランドが行う取り組み、与えるサービス、提供する価値そのものがブランドの代名詞になってきています。
これはブランドがたくさん生まれ、触れていく中でユーザーがより本質的なものに価値を見出しているということのようです。ロゴが付くことで生まれる信頼感に留まらず、ロゴも含めたトータルでのストーリーテリングや体験設計が重要になってきているとも言えます。

これらは時代の変化と共に生まれてきている性質で現代でコミュニケーションを実行するブランドにとって無視できるものではありません。
ロゴ単体に収まらず大きな括りで考えることが重要になってきている、ということなのかもしれません。

いいロゴとは

デザイナーがロゴを作るときにはシンプルなアウトプットに見えても実は結構色々考えていたりします。
ロゴの必須条件や現代のロゴとしての在り方を考えてきましたが、今回の話以外の視点もたくさんあるかと思います。そのロゴを取り巻く状況によってロゴが背負うものも変わってくるため、そこをつかむことも重要だと感じます。
そのロゴが表現すべきこと、表現しないこと、それぞれの匙加減でいろいろな方向やアイディアを探りながらユーザーに定着していくもの。
いいロゴとはつまり「適切な狙いを持って適切に機能している」ということだったりするのかもしれないですね。

FRACTAでお手伝いしたロゴのご紹介

ついつい長くなってしまいましたが、今回紹介したような考えや他の観点も織り交ぜながらもといくつか弊社でお手伝いさせていただいたロゴについて、最後に簡単な解説と共に紹介させていただきます。

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GRYLLUS(グリラス)

食用コオロギの社会実装を目指す「GRYLLUS」のコーポレートロゴ。
今後注目されるであろう昆虫食領域において、日本のみならず世界でも確固とした立ち位置の獲得とこれまでの昆虫食にあったイメージの刷新を目的としたプロジェクト。ロゴマークにはフタホシコオロギの眼をモチーフにしたデザインが採用され、あしらわれた二つのドットは明るく新しい未来を見据えた前向きな眼差しを表現しています。ブランドの商材や世界観をシンプルにまとめ上げた明瞭で記憶に残るロゴになっています。


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eminas(エミナス)

1919年創業の丸住製紙株式会社の新規事業の衛生用品ブランド「eminas」の立ち上げ支援の中でのロゴデザイン。ブランドの思想を体現する「笑み」と「みんな」と「成す」の言葉をもとにしたネーミングから不安を拭き取る軌跡、生み出す笑顔をモチーフに設計。丸みのある書体を軌跡に沿って配置することで、楽しさや明るさをイメージしたロゴです。


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宇部市

山口県宇部市のロゴ。宇部市は、炭鉱産業として、緑豊かな街として常に街を発展させてきた歴史があります。その代々伝わる「街を切り開く力強さ」やエネルギーを、扉が開いていくようなパースペクティブなロゴデザインで表現。中心に集まるパース構造にすることで、前に進んでいく勢いや、人々が集まる(帰ってくる)活気ある街を象徴しています。宇部市の代表的な彫刻「蟻の城」レッドでデザインされたロゴは街中に活気を与えます。


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objcts.io

レザーアイテムブランド「objcts.io」のロゴ。“モダンラグジュアリー”というキーワードに基づき、王道で伝統的な書体の骨格のをベースに直線と円弧でリファインし現代的な佇まいをも併せ持つロゴを制作。レザーという歴史と文化のある素材を扱いながら現代的な思想を持つブランドの世界観を体現しました。特徴のある名前をフックにシンプルでスタイリッシュな存在感のブランドを演出しています。


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FRACTAは、ブランドを最大限理解し、伴走しながらブランドの輝きを社会に実装するトータルブランディングパートナーです。今回は、FRACTAがブランドや企業を支援する中でも”ブランディング”という観点から、ロゴデザインについてお伝えしました。

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