GRYLLUS | 株式会社グリラス
食用コオロギの社会実装を目指す「グリラス」のトータルブランディングプロデュース
徳島大学の基礎研究をベースに、「コオロギが持つ可能性の社会実装」をミッションに掲げるフードテックベンチャー「GRYLLUS(グリラス)」。コーポレートブランディングと商品開発のためにプロジェクトがスタートしました。CI・VI開発を始めとするブランドアイデンティティの設計やフィロソフィーの選定段階から参画し、コーポレートサイトや名刺などの営業ツールの作成まで、一貫した企業ブランディングを叶えるため、幅広くプロデュースさせていただきました。
2022年現在においても、風変わりな面白コンテンツとして消費されてしまう事の多い「昆虫食」。しかし、コオロギは食用肉と比べて生産の際に排出される温室効果ガスが少ないことや、食品残渣を活用した生産が可能な「サスティナブル」なタンパク源であるというイメージはあまり定着していないのが現状です。 また、「大学発ベンチャー」という業界内のポジションもあって、グリラスはコオロギの遺伝子研究をひたすらしている会社という印象もあった中で、同社ならではのコオロギの魅力を訴求し、多くの人々にコオロギを受け入れてもらえることを目指しました。
ブランド理解
ブランドの特性を理解し、アプローチ方法を探るために

グリラスはコオロギの研究だけを目的とした企業ではなく、コオロギを新たなタンパク源として社会に浸透させ、調和の取れたフードサイクルを実現し環境課題を解決するところまでをミッションとしています。 私たちはヒアリングを重ね、コオロギが循環型食品「サーキュラーフード」として理解され、広く世の中に受け入れられる為には、どんな姿をしているべきなのか、その為にはどんなアプローチが必要なのか、本質的に目指していることは何か、といった部分を掘り下げていきました。 その過程で、社員全員が「とにかくやる」という熱意を共有している点や、非常に風通しよく意見交換をされている様子など、外部からの干渉ではつくることのできない企業文化や性格が垣間見え、後の制作において非常に重要な要素を知ることができました。

調査分析/ビジネス構想
「コオロギで世界を変える」言語化とビジュアル検討

注目されている「昆虫食」「食用コオロギ」ではあるものの、まだまだ世間的にはコオロギが循環型食品「サーキュラーフード」という理解は進んでいませんでした。ヒアリングや議論を経て徐々に見えてきた「コオロギの無限の可能性を引き出し、生活インフラに革命を起こす」「本気でコオロギによって世界を変えていきたい」という同社の強い思いやグリラスという企業の輪郭を、慎重に言語化・ビジュアル化していきました。事業としての前例が少なく、共通の認識やイメージを持つことが難しいため、なるべく多く聞き出し、必ず目に見える状態で議論に臨む、ということを徹底しました。

ブランド戦略策定
ブランドの意識や熱量を伝えるフィロソフィー策定

今後注目されるであろう昆虫食領域において、日本のみならず世界でも確固とした立ち位置を目指し、「コオロギといえばグリラス」というイメージを作れるよう、ブランド作りを進行しました。 世界の栄養不足問題の解決や、昆虫科学で持続可能な食料生産プロセスの実現、昆虫科学で世界の健康問題に取り組みたいという同社の意識を含めたフィロソフィーを策定。メンバーの皆さんの熱量の高さや雰囲気を文章のニュアンスに反映させるためチューニングを重ね、言葉の裏にある熱量や未来への可能性が多くの人に伝わることを意識しました。

コミュニケーション設計
グリラスらしさの表現

「既存のイメージに対して、本来はどういう企業なのか」という目線合わせからスタート。伝達するための表現のニュアンスや、どう振る舞うといいかなどを具体化した資料を提示していきました。その中で、これまでの昆虫食にあったイメージを刷新できているか、小難しい表現や世俗的すぎる表現になっていないか、グリラスらしい空気感をまとい人格伝達しているか等、ヒアリングから抽出した条件がクリアできているかを常に意識しました。
ロゴマークにはフタホシコオロギの眼をモチーフにしたデザインが採用され、あしらわれた二つのドットは明るく新しい未来を見据えた前向きな眼差しを表現。多角的に描かれた両眼には、様々な角度からその可能性を検証していくという研究者としての誓いも込められています。
開かれた明るく温かい未来をイメージした「フレンドリーなイエロー」と、培ってきた知見や技術を表す「堅実なダークグレー」の二色をコーポレートカラーとし、そこに「Hello! New Harmonies.」というスローガンを迎えた、グリラスらしい「愛想のいいCI」が完成しました。

実装
コーポレートサイトやツールの制作

コーポレートサイトや営業ツールは、グリラスらしさの表現を指針に置きながら制作。クリエイティブには遊び心のあるビジュアルの展開を提案し、文学的な空気感をまとい品よく描かれたイラストレーションで、アカデミックなルーツをもつグリラスの目指す世界観の醸成を図りました。

クレジット
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徳島大学の基礎研究をベースに、コオロギとテクノロジーを組み合わせ、世界的なタンパク質不足やフードロスなど社会課題の解決に挑むフードテックベンチャー、グリラス。技術力に強みがある企業ほど、ブランディングやマーケティングにあまり意識が向かないことも多いなか、グリラスはコミュニケーションを成長戦略の要に位置付ける。その理由とは何か。グリラスと、同社の“自走”を支援するフラクタのプランナー、アートディレクターに話を聞いた。