「共に創る」ワークショップのつくりかた #01:グループサイズから考える

「共に創る」ワークショップのつくりかた #01:グループサイズから考える

こんにちは!FRACTA Research & Implementation(RI)局の月森です。
FRACTAでは、プロジェクトを進める中で、ブランドに携わる皆さんとワークショップを行うことがよくあります。なぜならブランディングの過程において、ブランドらしさをブランド自身で見つけていくためには、プロジェクトに関わる多様なメンバーが一緒に「共創」できる場づくりが大切だからです。

ところで、そもそも「共創」とはどういうことなのでしょうか。辞書によると「異なる立場や業種の人・団体が協力して、新たな商品・サービスや価値観などをつくり出すこと。」とあります。共に創る、読んで字の如くですね。

ですが、異なる立場の人たちが協力して新たなものを生み出すことは難しくもあります。形式上、全員で話し合った"結果"を形にすることはできるかもしれませんが、参加しているメンバー全員が持てるものを全て出し切って、納得した状態で創り上げることはできているのでしょうか?

もし参加者のうち「あまり自分の意見を言えなかった」と感じている人が1人でもいれば、その人はその後の成果についても「自分ごと」と捉えていくことが難しくなってしまうかもしれません。

全員が自分を発揮できる環境づくりを

人はそれぞれ、学びやすいスタイルがあると言われています。例えば、あるテーマに関して意見を出しましょう、という場面を想像してみてください。自分の意見が早い段階から定まっており、序盤から意見が出せる人もいれば、話し合っていくうちに気づきがあり、徐々に意見が出せるようになる人、また、そもそも意見を考える際、複数人で話し合うよりも個人ワークでじっくり考えることから始めた方が良い人など、さまざまかと思います。

だからこそ、ワークショップでは、いろいろなタイプの人がいることを念頭に置き、そこにいる全員が遺憾なく自分を発揮できる工夫をすることが大切だと筆者は考えます。

そこで、ワークショップを構成する要素のうち、「場(環境)」にフォーカスして、多様な人々が「共創」するためにどのような工夫ができるのか、全3回に分けて考えてみたいと思います。

まず初回では、ワークショップ内で活動する際の「グループサイズ(人数)の特徴」について考えます。さまざまなアクティビティ(活動内容=何をするか)を取り入れることだけでなく、グループサイズを適宜変えながら運営することで、多様な参加者の意見や気づきを引き出しやすくなるかもしれません。

グループサイズごとの特徴を考える

1人

先にも述べたように、「アイデアを出す」段階において、まずは1人でじっくり考えた方が自分の意見を出せるタイプの人もいます。皆で話し合う前に1人で考える時間を設けることで、全員が考えて意見をもつことができます。話し合いながらの方が意見を見つけやすいタイプの人にとっても、アイデアの源泉を見つける時間となるでしょう。

ワークショップでは2人以上のグループで話し合うことが多いと思いますが、そういった時間の前に適宜個人ワークを取り入れることが効果的だと筆者は考えます。

2人

意見交換ができ、客観性を取り入れることができます。大勢ではないので密な話し合いができ、「話しているうちに気づく」ことも起こりやすいでしょう。また、全員が「しっかり話す」「しっかり聞く」双方の役割ができるのも良い点です。一人一人が深く考え、話す場面を作りたい場合に、取り入れるのがおすすめです。

3人

2人よりも相乗効果が生まれやすいといえます。多様な意見から新しいアイデアが生まれるでしょう。また、大きすぎないサイズなので合意に辿り着きやすく、かつ、少し尖ったアイデアも丸くなりすぎない、ちょうど良い頃合いでしょう。

4~6人

さらに知識や意見の多様性が高まり、様々なアイデアや気づきが生まれやすい状況になります。このくらいの人数までであれば手抜きする人も現れにくいです。一方、複数人の中では意見を言い出しづらい人がいる場合や、声が大きい人に引っ張られることが起こりうるので、適宜様子を見る必要があります。

全員

全員が同じ認識を持つ必要がある場面や、多様な意見やアイデアを共有してまとめたり、振り返りをするには、全員参加が望ましいでしょう。全員で同じ活動をすることで、普段話す機会がない人のことを知れたり、一体感を得ることもできます。

ブランディングに欠かせない「自分ごと」化のために

今回は、ワークショップにおいて「参加者全員が十分にアイデアを生み出せる環境づくり」という観点から、グループサイズの特徴について考えてみました。事前に参加者の特性をよく把握しておくことで適切なグループサイズを設定することができますし、多様なメンバーの参加が予想される場合や事前の把握が難しい場合は、いくつかのパターンを取り入れてみても良いかもしれません。

繰り返しになりますが、ブランディングの過程においては、ブランドらしさをブランド自身で見つけていくことが大切です。自分たちの想いや事業をする理由を一番、純度高く理解しているのはオリジンであるブランド自身であるはずだと筆者は考えるからです。

そして、通常は様々な知識や経験、アイデアを持ったメンバーが集まり、チームでブランディングを進めていくことが多いと思います。「自分たちのブランド」を「自分ごと」として捉えるためにも、プロジェクトにおいて「自分も参加している」という意識を全員が持つことが大切だと思うのです。

この意識を形成するにあたり、「参加者全員が十分にアイデアを生み出せる環境づくり」をすることは効果的だといえるでしょう。今回の記事がヒントになれば嬉しいです。

次回は「様々なレイアウトによりどんなコミュニケーションが生まれる工夫ができるか」に焦点を当て、考えてみます。ぜひご覧ください!

「共に創る」ワークショップのつくりかた #02:レイアウトから考える


[参考]