こんにちは!Research & Implementation局 (通称RI局) 支援・調査Divisionです。
先月からShopify ChangelogのUpdateをご紹介していますが、今月は「Shopify Editions 2023 winter」特集をお届けします。
◎Shopify Editions とは?
EコマースプラットフォームであるShopifyが年に2回行う、グローバルプロダクトリリースです。
「Shopify Editions 2023 winter」(https://www.shopify.com/jp/editions/winter2023)は2/10に公開され、100種類以上の新しいプロダクトが発表されました。
今回の発表では9項目について言及があり、先行してChangelog等で公開されていた機能も多く含まれている印象でした。各項目についてRI局が着目したトピックスをご紹介します!
(本記事では“日本国内で展開するマーチャントに対し影響がある内容”をターゲットとしています。)
- 01. コンバージョンを促進する
- 02. 複数のチャネルで販売する
- 03. グローバル展開を進める
- 04. B2Bで事業を拡大する
- 05. お客様を発掘し、エンゲージメントを促進する
- 06. フルフィルメントと配達
- 07. ビジネスを運営する
- 08. Shopifyで構築
- 09. コンポーネントを選択
01. コンバージョンを促進する
トピック:ワンページチェックアウト*
Shopifyのチェックアウトはページ遷移が多い、と言われていたこともありました。
一方で、Shop Payを活用したワンページチェックアウトは素晴らしいユーザー体験を実現し、強力なCVR改善ツールとしても機能しました。ワンページチェックアウトではより高速な1ページのチェックアウト エクスペリエンスを実現します。情報フィールドとページの読み込みが少ないため、サイトでのショッピングが顧客にとって非常に簡単になり、一方でCheckout Extensibility を活用したカスタマイズもこのワンページチェックアウトの中に組み込まれます。
Shopifyのチェックアウトの強化は長年望まれてきた究極のコマースプラットフォームを実現する最後のピースと言えます。
*「ワンページチェックアウト」は年内リリースが予定されています。
Shopify公式グッズストア shopify.supply で実装されており、実際に体験することができます。
02. 複数のチャネルで販売する
トピック:1,000を超えるロケーションが利用可能に
1つのストアで利用できるロケーション数が最大1,000までアップデートされました!
在庫状況から顧客の購入履歴に至るまで、かつてないロケーション数の情報を一元的にサポートすることができ、大規模な対面販売も可能になります。
「規模の大きい販売店ネットワークを持ちながらも、利用できるロケーション数の上限に悩まされていたストア」や、「在庫管理場所として多数のロケーションを活用するストア」にとって、大きなアップデートと考えられます。
プラン別ロケーション数(2023.3.1現在)
Shopify Starter | 2 |
Basic Shopify | 1,000 |
Shopify | 1,000 |
Advanced Shopify | 1,000 |
Shopify Plus | 1,000 |
03. グローバル展開を進める
トピック:マーケットごとに販売商品をカスタマイズする / Translate&Adaptアプリ
複数のマーケットを利用しているストアで、「各マーケットごとに公開する商品」を調整できるようになりました(*)。
様々なマーケットでの「ライセンス契約」「地域的な規制」などに柔軟に対応できます。ストア顧客は顧客自身が利用可能な商品のみを閲覧することができるため、顧客が「表示されているのに自分の国からは買えない…」と残念に思わずにすむよう備えることもできますね。
また、「Translate&Adapt」アプリを使用して、マーケットごとに異なる土地柄・季節感など文化面も包括的に考慮したローカライズをより直感的な作業で実現することができ、様々な地域の顧客に向けてより自然な購買体験の提供が可能となります。
*現在「マーケットごとに販売商品をカスタマイズする」機能は早期アクセス版リリースです。一部のストアでのみ利用できます。
Translate&Adapt アプリでできること
- コンテンツを翻訳する(自動or手動)
- マーケットのカスタムコンテンツを作成する
- 地域特有のスペルや、マーケット内で推奨される表現を使用する
- マーケットに基づいたプロモーションコンテンツを表示する
- メタフィールドを使用して、特定のマーケットでの固定金額を表示する
- スペル・語彙・メッセージのバリエーションを考慮して、異なるマーケットに合わせた購買環境を提供する
- あらゆる箇所をローカライズする
- 編集とレビュー
04. B2Bで事業を拡大する
トピック:数量ルール / お客様別の商品公開
B2B機能は「D2C-ify(B2BをD2C化する)」「カスタマイズとパーソナライズ」がキーワードになってきそうです。
投資収益率 (ROI)達成のための戦略の1つとして、顧客別の商品公開や購入数の数量ルール(*)などのカスタマイズが可能になったことに注目します。
顧客はパーソナライズされた体験を求めるようになっており、またパーソナライゼーションに優れた企業は、平均的な企業よりも40%も多くの収益をあげていることから、これらの機能が大きな役割を果たして行くと考えられます。
*現在、「数量ルール」機能は早期アクセス版リリースです。一部のストアでのみ利用できます。
Shopify Plusストア管理画面:B2Bカタログの作成により、B2Bの顧客が特定の価格で商品を購入できるよう設定できます。
05. お客様を発掘し、エンゲージメントを促進する
トピック:再エンゲージメントを実現するマーケティングオートメーション
カゴ落ち、チェックアウト離脱、ブラウザ離脱…などのお客様に自動でメールを送れるようになりました。
管理画面「マーケティング > 自動化」でShopify Flowでのワークフロー設定、Shopifyメールの設定が既にされており、オンにするだけで該当ユーザーがいる場合に送信されます。ワークフローやメールの編集ももちろん可能です。
オートメーション機能を利用して購買行動を促すことを簡単に実現できます。
ストア管理画面:マーケティング > 自動化 でオートメーションを作成できます。
06. フルフィルメントと配達
トピック:お客様向けセルフサービス返品
顧客による返品プロセスが簡素化され、セルフサービスでの返品申請が可能になりました。
返品が容易になることで顧客体験が向上し、ロイヤリティの構築につながります。
※ 事前に「新しいお客様アカウント」の設定を行った上で、「お客様のセルフサービス返品」を有効にする必要があります。
(シームレスな顧客体験につながるリリースですが、マーチャントとして、返品された商品の取り扱いや返品自体の対応方法など課題は残ります)
ストアフロント:顧客ログイン後のアカウント画面ではこのように表示され、顧客自身で返品をリクエストできます。
07. ビジネスを運営する
トピック:Shopify Flowを使ったスケジューリング
Shopify Flowのスケジューリング機能(*)を利用することで、例えば1日1回手動でレポート生成していたようなタスクを簡単に完了できるようになります。
新たに用意されたトリガーとアクションの1つ「スケジュールされた時間トリガー」は、指定した日時にワークフローを開始し特定のスケジュールでワークフローを繰り返すなどの設定が可能です。
*現在、本機能は早期アクセス版リリースです。一部のストアでのみ利用できます。
Shopify Flowのスケジューリング機能でできること
- ワークフロー実行のための、特定日時のスケジューリング(商取引イベントを開始する必要はなし)
- 日次レポートに必要な特定のShopifyデータの取得(ワークフローごとに最大 100まで)
08. Shopifyで構築
トピック:メタオブジェクトでカスタムデータモデルを作成
新しいデータ作成・管理機能「メタオブジェクト」が使えるようになりました。
好みの構造でデータベースを作成できる「メタオブジェクト」を使用して、店舗一覧・スタッフ一覧・スタッフコーディネートのような、汎用的ながらShopifyでは提供されていない機能などを作成できます。
- データはLiquidを使用してフロントに出力することができる
- さらにメタフィールドとの連携も可能
例えば、商品データに「取り扱い店舗」というメタフィールドを作成し、メタオブジェクトで作成した店舗一覧の各店舗情報を紐付けることができます。そして該当の商品ページ上に「取り扱い店舗」を動的に出力できます。
「店舗一覧」作成時の画面(例)
ストアフロント(Liquidでオンラインストア > ページに出力):店舗情報ページ
09. コンポーネントを選択
先日発表されたCommerce Components by Shopifyについての詳細です。
まだまだ謎は多いものの、コンセプトや対象となる企業規模、どういったビジネスが向いているかについて解説されています。
特にポイントは3点。
- 30以上のコンポーネントをパズルの様に組み合わせて構築できる
- APIのレート制限がない
- Shopifyの専任サポートと技術担当者によるサポートがつく
想定売上規模としてはShopify Plusよりさらに上のレンジであることは間違いないですが、より詳細の発表が期待されます。
…などなど今回取り上げられなかった機能も含め、ワンページチェックアウトのような大注目アップデートからB2Bでの活用が期待できる機能の更新、これまで以上にストアと顧客との間を埋められるような機能追加など、幅広いながらも堅実なEditionsだったかと思います。RI局的考察はいかがでしたでしょうか?
FRACTA RI局では引き続きShopifyの機能的動向に注目し、検証を進めていきます!
ぜひ毎月、チェックしてみてくださいね。