【FRACTA×FFG記念対談③】「自らの力で戦える企業を増やしたい」ANAGRAMS ・阿部さん(前編)

【FRACTA×FFG記念対談③】「自らの力で戦える企業を増やしたい」ANAGRAMS ・阿部さん(前編)

フィードフォースグループへのジョイン記念企画第3回目の対談相手は、アナグラム社・代表取締役の阿部さんです!前編、後編の2回に分けてお届けします。

Shopifyではなく、ブランディングに向いた目線

河野:改めましてよろしくお願いいたします。阿部さんとはTwitterで繋がってから、ずっとお話ししたかったので嬉しいです。

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アナグラム 阿部さん

阿部さん:そういえば、ちゃんとこういう話したことないですね。改めてよろしくお願いいたします。先日、FFG内のキャリアハブという、会社をまたいで異動・転籍が可能な制度のイベントがあったのですが、その途中でちょうどFRACTAさんのFFG参画のリリースが出て。最後締めに話してくれてって言われて話したんですけど、そこで僕のFRACTAさんへの想いを全部そこで話しました。

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FRACTA 河野

河野:え!まだ聞いていないです。是非聞きたい。

阿部さん:FFGの戦略的なものなので、全ては書けないのでニュアンスとしてぼかしてくださいね。笑
僕ら、アナグラムは特になんですけど、運用型広告はどれだけ大事だと言われても、クライアントにとって目的を達成するためのいち手段に過ぎません。例えば、ECの企業経営には当然ながら運用型広告に限らず、在庫管理や商品開発などを筆頭に、資金調達や採用戦略など、本当に多くの変数が存在していますよね。なんなら、FRACTAさんの得意とするブランディングのように、運用型広告よりもより大きな変数だって当然のように存在しています。こんな形で、企業にとってより大きな変数を扱えるようにならなければいけないと思考するようになって実に10年以上費やしてきていまして、未だスケールできる感覚が掴めていなかったんですよね。そんな時に今回のFRACTAさんの話が飛び込んできたという流れです。
最初はみんなShopifyの目線でFRACTAさんのこと見ていたと思うのですが、僕だけ全く違う視点でFRACTAさんを見ていたようでした。と、ぼかし気味にはなりますが、こんな話を全体会で話したという流れです。

河野:僕らはブランディングとDX・ECは不可分だと思っています。そもそも僕らがShopifyで日本の中でも注目いただけているのは、自分たちのブランディング能力を最大限活用した結果です。一方で僕らのブランディングはDXやECに直結しているので、Shopifyを理解し、最大限活用することは必要不可欠。やっぱりブランディングとDX・ECの両軸があってこそだったので、そう言っていただけるのは大変嬉しいです。

FRACTAの印象

河野:FRACTAについて、塚田さんや他の皆さんとは違う独自の視点で見ていただいたという話があったと思うんですけど、どんな印象でした?

阿部さん:それで言うと、元々Shopify領域って正直僕そこまで追っていなくてですね。塚田だったり岡田にそこは任せている部分があって、「Shopifyに軸足おくぞ!」という話を聞いてからある程度見るようになりました。なので彼らよりは深く見てはいないんですよね。
ただ、これまでアテンションエコノミーベースでできていた広告業界の一部(全てではない)が、クリエイターエコノミーに必ず書きかわるのは間違いないなと思っていました。その時担ぐべきはShopifyだろうと。それは間違いないなと思ってから、Shopifyの会社としてFRACTAさん、ハックルベリーさんをバーッと見るようになりました。その時の印象で言うと、ブランディングと聞いていたので、逆にどういう仕事をされるのかまではわからなかったですね。なので、正直わからない部分でお聞きしたいなと思っていたんです。FRACTAさんってブランディングから構築に入られるじゃないですか。実際に売り上げまで見るのか、もしくはどこかで切り離す感じですか?

河野:そういう意味でいうと、僕らって変わったコンセプトを掲げていて、基本的にECは自分たちで運用しないと本質的な売り上げは上がらないという持論があります。よほど大きな企業じゃない限りは、完全に丸投げして運用すると、どこかで上限値がくる。なので自分たちでやってもらえるようにしなきゃいけないと。もともと僕らってそれこそ EC の運用代行を15年ぐらい前にやっていたことがありました。アパレルさんECの運用代行で、実家のガレージで商品撮影して登録して、セールもやって……みたいなことすべてやっていました。その時に、ただものを売るだけじゃなくて、そのブランドの価値や独自性、今で言うところの一連のカスタマージャーニーの設計をしないとジリ貧と言うか、売上上限値があるなと感じて。
なので僕らはビジネス設計もやるんだけど、実際のECの打ち手みたいなところまでも一緒に考えて、かつ、ブランドが自分たちできちんとコントロールしてアクションに移せるところまで教える(伴走する)ことをやっています。基本的には今やっているプロジェクトが皆そうなんですけど、ある程度売れるところまでは一緒に行ってみたいし、求められているところではあります。ただ、売上をある程度以上に伸ばすフェーズで、必ず広告の効率的な運用が必要になるのですが、広告の効率的運用は僕ら一番苦手なんです。なぜかというと、僕らって基本的に売上を上げていくところで広告の価値や意味がすごくあると思っているんですけど、そこをやり始めるとブランディングがおろそかになるんです。

阿部さん:なるほど。

河野:自分たちの持ち味と役割を最大限生かすことを考えて、広告に手を出さないようにしていたが故に、めちゃめちゃ弱くなってしまった事実があって。なので売上を上げるところを一旦広告に依存しないでやるところまでは僕らの仕事という感じで、その範囲をすべてやっています。

阿部さん:僕はブランディングと売上を上げる施策というのは、必ず折衷案があると思っている派ですね。別物ではないという。ただ今までの世の中ってブランディングと売上を上げる施策を別物として認識されている。
わかりやすい例として、ブランディングをめちゃめちゃ壊して売上を上げる手法もあるじゃないですか?それはただ失っているものが測れないだけであって(測れないものは見る必要がない、という論調も分かりますが)、やっぱり良くないなというのはすごく思うんです。
数字で見える売上以上に、実は数字には表れない失っているものの方が大切になる時代だと思うんですよね。必ずどこかに最適解はあって、ただ誰も見つけられていないだけなんじゃないかなと思います。

河野:ブランディングと売上のテーマは、僕らもずっと考えていて。ブランディングwithコンバージョンということって、みんな見ないようにしていたというか。僕もいろいろなイベントで言っているのですが、ブランディングを免罪符にしてはいけないよと。ブランディングって言えば、ものすごいお金をかけてクリエイティブを作ったり、 CMを作ったり、成果を見ずにメディア掲載したり……成果を直視されない、許されるためのキーワードになっちゃっている側面もあって。もちろんそれ自体がいけないとかではなく、きちんと成果を追わない姿勢、目を瞑ってしまう状態が良くないと思っています。ブランディングって本来は、お客様に対してどういう風に認知してもらうのか、どういう想像してもらうのかがすごく大事なポイントです。ブランディングは既に体系化され、教科書化されているというか、もうすでに理論値化されている一方で、大企業向けのもので時間をかけられることが前提でした。そのせいで、みんながなかなか使いこなすのが大変だったんだろうなと。
使いこなすのが大変だから、広告とブランディングは分離して考られてしまうことが多いのかなと思います。

阿部さん:ブランディングには、数値的な成果を求めていないみたいな感じですね。

河野:でもそこは僕も両立させたいし、両立すべきと思っています。例えばクリエイティブ設計の部分と広告という一つの答えがウォルト・ディズニーにあるなと僕は思っています。
ディズニーランド、ディズニーワールドのアトラクションって基本スポンサーがついてるんです。例えばカリブの海賊だったらビールメーカーのキリンさんとかついてるじゃないですか。でもアトラクションに乗った時は一切意識しないけど、アトラクションが終わった後にキリンがビールを提供しているレストラン(ブルーバイユー・レストラン)の世界観があったりします。あとは、それぞれのアトラクションにスポンサーからの印象的な言葉が掲げられています。

それを知ったとき衝撃だったのが「これほど自然に広告って出せるんだ!」と思った。昔は好きな雑誌読んでいると、その雑誌の中にいっぱい広告があるんだけど、その広告すらも楽しかった。そういうものを僕らはもっと作っていかなきゃいけないんじゃないかなって思っていて。一つそれで思ったのは、お金を出して何か枠を買うんじゃなくって、そもそも同じ価値観や世界観を持ったブランドや商品、メーカーさん達が集まって、音楽でいうフェスみたいなイベントごとやミュニケーションサイトをデジタルで実現して、お互いに送客しあえる形。それが次の広告の一つの道にできないかなとかは妄想しています。

阿部さん:すごく思想が近いなって思います。このあいだNHKの「プロフェッショナル」で、大草直子さんがスポンサーなしで雑誌を作って販売まで手掛けていました。なぜかと言うと、スポンサーを入れてしまうと、どうしてもスポンサーの商品を載せなきゃいけなくなってしまうので世界観が崩れちゃう。なので自費で作っていると。

阿部さん:それを聞いた時にものすごく違和感があって。やりたいことは分かるんですよ。わかるんだけど、広告=悪みたいな感じになってしまっている。これが今の社会なんだと痛感させられました。ただ、広告だってきっと楽しい表現はできる。先ほど河野さんがおっしゃっていた通り、楽しかったじゃないですか、昔の広告って。楽しい広告ってできるはずなんですよ。
今日も午前中、高校生に向けて話したんですけど、みんな広告が嫌いなんですよ。「広告がなかったらGoogleMapが見れないのでここまで来るのも難しいですけどね」と言って初めてみんな気づくんですけど。
ただ、しつこいスマホの広告が、若者たちを広告嫌いにさせてしまったのはあると思います。好かれる広告、楽しい広告だって山ほどあるし、いろいろなやり方があるんじゃないかな思っているので、我々で何か一つ良い事例を生み出したいですよね。

自らの力で戦える企業を増やしたい

河野:僕らがご支援させていただいている大手企業さんは、正直2年くらい前までは結構「丸投げ」したいって人が多かったんです。でも去年くらいからお手伝いしているところはみんな、自分たちでやるぞ!という気迫がある。大手がそうなったらすごいですね。メーカーさんが本気になったら最強なので。

阿部さん:それは思います。広告もそうですね。今年からインハウスでやりたい企業も増えてきましたね。昔から少しずつインハウス化の波はあったんですけど、意外に増えたなと。

河野:アナグラムさんってインハウス化も支援しているじゃないですか。それはコンセプトとして強めにもたれていらっしゃるんですか?

阿部さん:いや、そんな強いこだわりがあるわけではないのですが、いいお客さんに成功してもらったら、どちらにしろ楽しいじゃないですか。なので、うちで運用代行をして、途中でインハウスに切り替えますみたいなお客さんには、その点もしっかりサポートします。そこでバサッて切ると気持ち悪いじゃないですか。なので僕らはインハウスにしたいと聞いたら、基本的には気持ちよく引きます。最初に軌道に乗るところまで見てほしいとか、コンサルで入らせてもらうこともあります。結局うまくいっていただければそれでいいので。

河野:そうなんですね。

阿部さん:もちろん僕らの売上のインパクトは少し下がったりはしますけど、それはこっちの事情で、お客さんはお客さんの事情があるじゃないですか。なので僕らがダダこねても仕方がない。また機会があったらアナグラムにお願いする。どちらかというとそういう関係性を持てる方が僕らとしては嬉しいです。

河野:僕らも、自走を実現できるようになることをコンセプトにしています。でも、担当者が急に辞められちゃったりとか、メインの担当の方が産休育休に入りますみたいなこともあったりします。そういうときは僕らに頼ってもらいたいです。産休育休中は僕らが代わりに頑張ります的な。笑
イメージとしてはロケットのブースターとか補助エンジンみたいな使い方。「打ち上げの時には一緒に最大限加速させて進めて、無事軌道に乗ったら切り離してもらっていいです。また必要な時には戻ってきますよ」みたいな。実際それぐらいの距離感の方が関係性は良くなりますよね。

阿部さん:そうですそうです。プロジェクトが終わった後でもたまに食事にも行くし、恨みっこなしというか。どうせ似たような業界で生きていくので、それぐらいの距離感が一番いいんじゃないかなと思っています。


河野さん:まさしく僕もそれを社内に浸透させるまでだいぶ時間がかかったけど、最近は「自走してもらおう、してもらわないといけない」みたいな意識にみんななってきました。

阿部さん:コンサルの仕事って難しいなって思っていた時があって一時期コンサルを辞めた時がありました。なぜかというと、僕らがコンサルとして入ってうまくいくんですけど、契約を切ってくれないんですよね。


河野:あるあるですよね。


阿部さん:でもコンサルのゴールは契約を切ってもえらることじゃないですか?なのに切られないから気持ち悪くなった時期がありました。もうすべて話したし、後自分でやってくださいみたいなときに「いや、ケツ持ちでいい。契約してください」と毎月知らないうちにフィーが振り込まれてくる。それがすごく気持ち悪くて。「やだ、もうコンサルやめる」って一切やらなかった時期があったんですね。

河野:僕らもそこはずっとジレンマがあって。「もう相談だけだったら別にそんなに費用いらないよなとか。かといって無料ですと言うと、向こうも質問しづらくなるだろうな……」と。それを解決するために、FRACTAでもSaaSのサービスを1月にリリースします。ブランディングの情報や相談、ShopifyやOMO、ブランドビジネスの情報を継続的に双方向でやり取りできる仕組みを提供する予定です。「そこで気軽に声かけてね!」という形にしました。そういったコミュニケーションの窓口って重要ですよね。

(後編に続く)