イルローザをつくる人とまち(前編)

イルローザをつくる人とまち(前編)

こんにちは。FRACTA ビジネスプロデュース局の熊谷です。

FRACTAでは、ブランディングの支援を行う際、ブランド理解のために現地訪問を実施する場合があります。
先日私は、株式会社イルローザ様とのプロジェクトでの現地訪問に同行し、現地のまちや施設、工場、店舗と様々な場所をご案内いただきました。
また、創業者や生産者の方からお話を伺い、ブランドへの理解を深める貴重な機会となりました。

今回は、前編・後編の2回に分けて現地訪問の様子をレポートしたいと思います。

株式会社イルローザ(以降イルローザ社)について

株式会社イルローザ」は、1976年に岡田昌夫さん・俊子さん夫妻が創業し、今年(2023年)で47年を迎える徳島県のお菓子メーカーです。現在は、ご子息である岡田圭祐さんが代表を務めています。

地元徳島では誰もが知っている知名度のあるブランドで、特に、しぼりたて牛乳で作った生クリーム仕立ての餡をしっとりとした生地で包み込んだ「マンマローザ」というお菓子が有名です。

プロジェクト発足の経緯

元々はECサイトのリニューアルや店舗のDX化について、イルローザ社のパートナー経由でご相談をいただいておりました。

お話しを進めていくうちにブランディングにも興味を持っていただき、現状抱えている課題やこれからの展望をイルローザ社よりご共有いただきました。

  • 先進的な洋菓子ブランドとしての原点に立ち返り、さらにワクワクするものを届けたい
  • 徳島の人口減やニーズの変化など、時流に合わせたアップデートを図りたい
  • 社外だけでなく社内に対してもブランドを体験する機会を作り、意識を統一化したい

このような想いから、ブランド価値の言語化からShopifyを活用したECサイトリニューアルまでを一貫してFRACTAにご依頼いただきました。

FRACTAのブランド理解〜なぜ現地訪問が大切なのか?〜

FRACTAでは、ブランドとプロジェクトをご一緒する際、特にブランドを理解するフェーズを大切にしています。ブランディングがメインのプロジェクトの場合も、最終的に何かしらのクリエイティブを制作する場合も、ブランドを理解した上でそのエッセンスをアウトプットに反映した方が一貫性が出ると考えているからです。

プロジェクトの開始前に、あらかじめブランドに「ブランディングフォーマット」や「ヒアリングシート」というFRACTA独自のフォーマットへの記入をご依頼し、その内容をもとにプロジェクトメンバーから追加でヒアリングを行ったり、市場のリサーチなどを行ったりすることで、初期の段階でブランド理解を深めていきます。

また、事業・ブランドについて深く理解し、より精度の高いプランニングへと繋げるため、オフラインでのインタビューや、店舗・工場などブランドを体現する場所への現地訪問をご依頼する場合があります。

今回のプロジェクトでは、店舗、工場、生産者さん、地域との繋がりが感じられる場の見学をご依頼し、2日間の現地訪問が実現しました。

1日目:神山町訪問

イルローザ社の皆さんは、徳島県と共に成長してきたという想いを強く持たれており、県民からも徳島県にはなくてはならない存在として慕われています。
そのため、徳島県という土地に対する理解は今回のプロジェクトにおいて必要不可欠であり、イルローザ社とも特に関わりが深い徳島県神山町での取り組みについて触れるのがいいのではないか、ということで1日目は神山町をご案内いただきました。

神山町には「神山森林公園 イルローザの森」というイルローザがネーミングライツを持つ公園があり、地域の方々に親しまれています。

http://www.central-forest.jp/park/

また、代表の岡田圭祐さんは、神山塾などを運営する株式会社リレイションの祁答院(けどういん)さんとも交流が深く、一緒に地域活動などを行ってきたという経緯もあります。そのため、今回は祁答院さんを中心に神山町の歴史や地域課題、取り組みについてご紹介いただき、まちや施設をご案内いただきました。

神山町とは?

徳島県神山町は、山間の自然溢れる場所にある人口約4000人ほどの町です。

撮影:澤圭太

他の地域に先駆けて光ファイバーを整備し、その通信インフラの良さから2008年頃よりサテライトオフィスやリモートワークの地として注目されてきました。
Sansan株式会社株式会社プラットイーズなどの企業も神山町にサテライトオフィスを保有しています。

撮影:澤圭太

住民の方々はオープンな気質の方が多く、移住者は起業や芸術などクリエイティブな活動をしている方が多いという傾向があります。その理由は、神山町が辿ってきた経緯や人口減少への対策とも関係しています。

目指すは「創造的過疎」

神山町の人口は減少傾向にあり、人口構成としては現在2人に1人が65歳以上。
そんな中、過疎化の現状を受け入れながらも人口構成を健全化し、働き方や職種の多様化によって価値を生み出しながら、緩やかな人口減少を目指す「創造的過疎」を目指しています。

人口対策でネックとなってくる部分が、地域に雇用がないこと。その解決手段として、仕事を持つ人や、起業し仕事を創り出す人を誘致する「ワーク・イン・レジデンス」という取り組みを行っています。

リモートワーク可能な仕事に就いている人や、芸術活動をしている人、起業したい人などを積極的に誘致し、地域の人や文化と溶け込みながら生活していくことを支援しており、近年30-40代の転入者も増えているとのことです。

アート・プロジェクトによる国際交流

神山町では、1999年から毎年、神山アーティスト・イン・レジデンス実行委員会が主催する、アートプロジェクトを行っています。
毎年約2ヶ月ほどの期間、国内外のアーティスト数名が神山町に滞在して作品を制作し、展覧会を開く国際的なアート・プロジェクトです。

芸術家も地域住民もお互いに交流を通じて良い影響を与え合い、新しい発見やインスピレーションに繋がるような活動となっています。

このように、他の地域から人が来て一緒に何かをやることが日常的であり、移住者にもクリエイティブな活動をしている人が多いことから、神山町のオープンな文化が形成されたのではないかと思います。

施設・まち紹介

上記のような事前情報をご説明いただいた上で、当日は神山町の様々な場所をご案内いただきました。

今回は、その一部をピックアップしてご紹介いたします。

神山バレー サテライトオフィス コンプレックス

NPO法人グリーンバレーが運営するコワーキングスペース。縫製工場をリノベーションしてつくった、町内のハブとなるような場所。
町内のイベントや、企業の合宿などでも使用されたことがあるそうです。
月契約もドロップインでの利用も可能。

(画像提供:認定特定非営利法人グリーンバレー

https://kvsoc.greenvalley.or.jp/

WEEK神山

「いつもの仕事を、ちがう場所で」というコンセプトのもと、1週間程度神山町で滞在できる環境を提供するゲストハウス。コワーキングスペース コンプレックスの目の前にあり、リモートワークをする人の滞在が想定されています。

宿泊客同士の交流が生まれるように、長い机を囲んでみんなで食事する時間が設けられているとのこと。景色も良く、確かに1週間以上滞在したくなる空間でした。

https://week-kamiyama.jp/

寄井商店街

昔から続く地域の店舗をはじめ、移住してきたクリエイターや職人の住まい、企業のオフィスなど、様々な施設や店舗が軒を並べる商店街。
過疎化の影響もあり、一時期は店舗数が減っていましたが、ワーク・イン・レジデンスの導入によって店舗数が以前よりも復活しつつあります。

寄井座

演劇や映画上映などに使われていた元芝居小屋。現在は神山アーティスト・イン・レジデンスで制作した作品の展示などにも活用されています。

(画像提供:認定特定非営利法人グリーンバレー

とても雰囲気のある場所で、個人的に深く印象に残っています。

神山まるごと高専

「テクノロジー×デザインで人間の未来を変える学校。」をコンセプトに、2023年4月から第一期生を迎え入れる高等専門学校。
起業家として第一線で活躍するゲスト講師の授業を受けられることなども話題となり、全国から志望者が殺到。倍率は9倍ほどあったそうです。

撮影:Koji Fujii

インターネット上で情報はよく目にしていたので、車での移動中に実際の校舎を見ることができて感動しました。

https://kamiyama.ac.jp/

まとめ

1日目の神山町訪問を通じて私が感じたことは、インフラ環境、アートプロジェクト、人口対策など、町全体での複合的な環境整備やプロジェクトが要因となってオープンな地域文化を形成していったのではないか、ということです。

このような地域のカラーが、先進的な洋菓子ブランドとして始まったイルローザの原点とも関連しているのではないかと思いました。

また、人口問題などブランドを取り巻く環境についても改めてお伺いでき、今後プロジェクトメンバーがブランディング活動に伴走していく上での大きなヒントになりました。

後編では、イルローザ創業者の岡田昌夫さん・俊子さん夫妻へのインタビューを通したブランド理解についてお伝えしたいと思います。

後編▶︎イルローザをつくる人とまち(後編)