C. TRIA | 株式会社グリラス
食用コオロギから明るい未来を描く、商品ブランディング
コオロギを新たなタンパク源として社会に浸透させていくことを目指す、徳島大学発のフードテックベンチャー「GRYLLUS(グリラス)」。同社のオリジナル食品ブランド「C. TRIA(シートリア)」の商品ブランディングを担当しました。企業ブランディングのプロジェクトと並行し、ネーミングや、ブランドロゴ・パッケージ・ECサイトのアートディレクション、テクニカルディレクションに至るまで、一貫してサポートしました。
調査分析/ビジネス構想
未開拓市場でのポジションを作り、新たな文化の創造を目指す

プロジェクトの初期段階では、食品ブランドとしてどのような立ち位置を狙うのかといった戦略の部分よりも、このブランドがどうなってほしいか、この社会にどのような価値を提供していきたいか、というブランドを通じて意識的な所からディスカッションを進め、食品ブランドとして「コオロギだから売れる・興味本位で買われるのは避けたい」「コオロギを日常の食卓に浸透させたい」といった、ブランドの基礎となるスタンスや意思を洗い出しました。 幾つかのポイントを踏まえ、クリエイティブにおいてはコオロギそのものを推し出すことは控え、「新たな食文化の創造」を表現するアートワークを運用する方向性で固まっていきました。ただし、プロダクトはあくまでも「食べ物」であることを留意し、「美味しそう」や「素敵」といったシンプルでプリミティブな感情に軸足を置いたデザインを終始心がけ、難解すぎないアウトプットを目指しました。 また、C. TRIAは「グリラスの看板ブランド」でもあるため、企業イメージから離れすぎないようトンマナをコントロールしました。

ブランド戦略策定
おいしさを追求し、明るい未来につなげるブランディング

食品ロスからコオロギを育て、新たなタンパク質を生み出す循環型食品“サーキュラーフード“を通し、商品を食べる人も未来を一緒に考え、共に未来を変えていく仲間になりませんか?というスタンスを示し、より多くの人にC. TRIAの輪がひろがっていくことを意識したブランディングを実施。デザインやコピーにもその姿勢を表現していきました。 その中で、言葉から受けるニュアンスとブランドのあるべき姿を照らし合わせたディスカッションを重ね「C. TRIA」というブランド名を共創しました。「C. TRIA」は、「Circulated Cultured Cricket(循環型に養殖されたコオロギ)」の三つの頭文字と、数字の3を表す「TRIA」から構成されています。同社と共同で開発したネーミングをベースに、遺伝子の塩基配列の表現であるC≡Gをモチーフにロゴのデザインを制作しました。 商品開発においては、試作と試食を繰り返しチーム全員で実食した感想を共有するなど、双方の議論をベースにスタート。食欲をそそる形を追求しました。チーム全員が議論や実食に参加することで、コオロギ市場で本格的な味を追求すると言うC. TRIAのロールを胸に、商品に対して強い納得感を持ちながら進行しました。

コミュニケーション設計
グリラスの姿勢を象徴する、哲学的で明るいクリエイティブとコミュニケーション

パッケージはグリラスのコーポレートカラーのイエローを基調に展開しました。クラフト感のあるアートワークは食感や味をモチーフとしつつ、「グリラスの創造性・美学・遊び心」といった姿勢を象徴するものでもあります。商品の種類が増えていく中で、この表現自体がC. TRIAブランドのアイデンティティとなっていくよう設計しました。 また、アンケートやSNSなどで積極的に声を拾い、ECなどのタッチポイントではオープンでフレンドリーな姿勢を心がけるなど、ユーザーと近い関係を目指しているのもこのブランドの特徴です。プロジェクトの初期段階から「企業・グリラス」と「ブランド・C. TRIA」の振る舞い方やキャラクターの辻褄が合うように意識しながら進行していき、一体感の伴った運用ができるようトータルで構築しました。

実装
虫の日(6月4日)に合わせたサイト公開

ECサイトのデザインは、予め定められていた6月4日(虫の日)の公開を目指すため、要件定義をしたのちにアプリを選定するなど優先度をつけて整理しながら、構築フェーズへと移行しました。公開以降もアプリの使用方法のレクチャーや課題に対する相談、実装サポートをしています。 トライアンドエラーで素早くサイト改善していこうという意識の高さや、持ち前のバイタリティの強さも加味し、視野が狭まったりニッチになりすぎたりしないよう、客観的な視点での進行を意識しました。

クレジット
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徳島大学の基礎研究をベースに、コオロギとテクノロジーを組み合わせ、世界的なタンパク質不足やフードロスなど社会課題の解決に挑むフードテックベンチャー、グリラス。技術力に強みがある企業ほど、ブランディングやマーケティングにあまり意識が向かないことも多いなか、グリラスはコミュニケーションを成長戦略の要に位置付ける。その理由とは何か。グリラスと、同社の“自走”を支援するフラクタのプランナー、アートディレクターに話を聞いた。