優れたデザインシステムでコスト削減、増収を叶える。デザインとROIの関係

優れたデザインシステムでコスト削減、増収を叶える。デザインとROIの関係

こんにちは。FRACTA ブランドクリエイティブ局 大野です。

2022年はスタートアップ冬の時代と言われ米国テックの株価暴落やウクライナ侵攻を始めとした環境不安など激動の一年でした。事業者やブランドはコストカット、キャッシュ引き締めを強いられるなど影響はさまざまなところに及んでいると思います。
そんな時代だからこそ、自分たちが何者であるか、どこに力を注いでいくのか、といったブランディングがより重要に。そして自分たちの価値を伝えていく上でクリエイティブやデザインの重要性は高まっているとも考えることができます。しかし今は冬の時代。キャッシュ引き締めの余波はさまざまな施策・製作にも及びがち。
自らの組織において適切に投資を受けられるためにできることはあるのか。
今回はデザインのROI(Return on Investment)について、初歩的な考え方をお話してみようと思います。

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語られるデザイン

デザインの重要性はビジネス界隈にもある程度浸透していると言えるでしょう。
経済産業省の「デザイン経営」宣言(2018年)を皮切りに「デザイン」というものが語られる機会は大きく増えました。デザインに力を入れた企業はかなりの確率で成長するというデータも散見されます。
しかしデザイン自体の効果について定量的な部分では語られることが少ないように感じます。
なんといっても難しそう。
「統一したイメージを与えます」「ユーザー体験の向上」「共感をもたらします」等々、よく聞きます(よく言います)がそれが具体的にどう良いのってところはなかなかイメージしにくい定性的なものになりがち。
このような表現となる背景の一つとして、デザイナー自身が実はデザインの経済的な影響に対して自覚と自信を持ちきれずにいることだと考えられます。

デザインは本質的な課題を解決する手段として注目され、「デザイン経営」が語られるようになって久しいですが、日本のスタートアップにおいてデザイナーが経営戦略に関わっている割合は25%に満たないというデータもあります。

デザイナーがある種表層的なアプローチを超えて社会と関わりを強く持とうとするのであれば、同時に社会との共通言語を持つことは必然。その一つが投資対効果の説明と言えるでしょう。デザインの意義を説明する時、デザイナー本位の説明に止まらず、経営者視点を持って語れるということはデザイナーの可能性をさらに高めてくれるものでしょう。

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デザインの影響を数値化するために

いきなりデザインのROIといってもなかなか具体化するのは難しいものです。
デザインが直接売上になることはそう多くはないかもしれません。
しかし前後の組み立てがあることで少しずつ効果に説得力が出てくるのではないでしょうか。意識した方が良いポイントは3つ。

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ざっくりいってしまうと、改善したい状況を定義して、改善する前と後の状況の仮説を立ててみましょうということです。
経営者は「それを行うことでどういう効果があるのか」に着目しています。
ビジネスの宿命としてあるのが収益を上げていくこととコストを下げていくことの二つ。この二つに対してデザインができることを仮説で当てていくことが具体化のプロセスの一つです。

デザインシステムの構築を例にしてみます。

立ち上げから数年経過したあるブランド(シードA)はデザインシステムを持たず日々の施策をケースバイケースで作っているとします。ここでデザインシステム開発のビジネス的な効果を大雑把に試算してみます。

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デザインシステムがあることで、デザインの工数が削減が見込めます。
1から色や書体を考える必要がなく、その時必要なことに焦点を当てて考えることが可能になります。
削減された時間をデザイナーの人件費に当てはめて考えると、仮に時間を50%削減できたとなれば収支への影響は大きくなってきます。

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あらゆるタッチポイントでブランドの姿を正しく伝えられていないと仮定します。
優れたデザインシステムはユーザーの記憶の定着や、ブランドを想起する助けとなります。
デザインシステム構築により接触時の効果が高まり、ブランドを覚えてもらうことが増え、サイト流入に5%影響があったとします。デザインシステムによりコンバージョンも0.2%向上したとすると、月に155万円になり年間で1,860万の収益になります。

このコストの削減と増収を合計すると、年間2,460万になり、さらにいうと通常デザインシステムは数年は使用していくことが考えられるので、仮に5年とした場合1億2,300万のコストの差が出てくる潜在的な可能性を示唆しています。

この試算はだいぶ大雑把なものですし、ただの都合の良い推測に過ぎないかもしれません。
しかし世の中の多くもまた推測によって動いているのもまた事実。
実際はここに、知見のある人の見解や他社の事例などと比較しながらもっとシビアに数字や要因の推測精度を上げていくのでしょう。ですがまず、数字に置き換えてみるというのは大事な一歩だと言えると思います。
精度の上がった試算を元にどれくらい投資すべきか、そういう会話がなされることがデザインにおけるROI検討の一つになり得るでしょう。
デザインが及ぼす影響は今回のコスト削減の観点や増収の部分のみではなく、社内のカルチャーの醸成や株主や投資家達にポジティブな影響をもたらすなど様々な範囲に及びます。大事なのはデザインに関連する人たち自らがデザインの及ぼす影響を語れることなのでしょう。

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おわりに

ROIや投資対効果と聞くと難しいことのように思いますが、結局はそのデザインの価値をどう説明するかということに違いはないと思います。
デザインに関わる人はロマンチストが多い印象です。かくいう私もどちらかというとお花畑の中で生きています。数字では測れない魅力も確かにあると思いますし、ビジネスのベクトルとは別のところにも価値があることも確かです。
ですがデザインが開かれた意義のあるものになっていく過程で、こういった数字に翻訳していくというのも大事なことの一つなのかもしれません。

ラッキーストライクのデザインで有名なレイモンド・ローウィ氏はこう言ったそうです。

「デザインはデザイナーだけに任せるには重要すぎる」

デザイナーがビジネスリーダーと会話をし、共感を得ることでデザイナーができることがもっと広がりを持つ可能性があります。自身の組織のクリエイティブに課題を感じてアクションを起こそうとしている方々の選択肢の一つとして少しでも参考になれば幸いです。

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