未来と文化の交差点#008 〜アルファ世代はリアルのクローズを買うか?〜

未来と文化の交差点#008 〜アルファ世代はリアルのクローズを買うか?〜

こんにちは。本記事では、音声メディア「FRACTA Future Forecast|未来と文化の交差点」の第8回の様子をお届けします!

前回に続いてFRACTAプランナーのあさこさんとともに、世代間のファッション事情や価値観についてお話しました。

オンライン・オフラインがシームレスな世代

つっちー:前回話題になった、世代によって消費やサステナビリティに対する考え方が違うという話ができたらと思います。未来の世代はどう考えているのかなと。

あさこ:整理すると私がX世代で。

チャーリー:私はミレニアル世代。

つっちー:私はZ世代です。

チャーリー:世代のセグメントに当てはめると揃ってますね。ここにはα世代はまだいないですね。

あさこ:いわゆるα世代は中学生ぐらいから下ですね。

チャーリー:私たちは自らものを選択して買い物しますが、α世代はまだ大人から提供されることが多い世代かなと思います。ただ実際選択する場面になったときに、私たちとどう違うのか気になります。

あさこ:Z世代もいわゆるデジタルネイティブと言われる世代だと思うのですが、α世代はさらにネイティブですね。ICT教育も受けて、全員にタブレットが支給されている環境でもありますし、これからプログラミング教育も必須になりますから。

つっちー:メタバースも当たり前の世代なのでしょうか。

あさこ:それはすでに実感していて。ちょうど私の息子が小学1年生の6歳の男の子で、マインクラフトとかが大好きなんですよ。
最初はマインクラフトってゲームだよねと思っていたのですが、これってメタバースだよねと思って。壮大な遊び場で、この中にはこういう素材があるから好きに遊びなよという感じなんです。

チャーリー:マインクラフトって結構自由創造性の高いゲームだったと思うので、小学生の時点でできるのはすごいですね。

あさこ:もう少し上の学年はフォートナイトをやっていて。彼らを見ていて思うのは、公園で遊ぶのもフォートナイトの中で友達と会って遊ぶのもシームレスなんですよね。
公園で集まってフォートナイトをやっている小学生たちの会話を聞いていると「この武器、誕生日プレゼントで買ってもらったんだ」ってすっごい自慢していて。

チャーリー:めっちゃ面白い。欲しいものが変わってきているんだ。すごいなぁ。

あさこ:求めるものがオンライン・オフライン関係ないんですよ。欲しいものがたまたまオンラインだっただけで。自己表現する場も、オフラインじゃなくてオンラインだっただけなんですよ。これはゲームの世界だけの話じゃないぞと思いました。

チャーリー:生活の中にオンとオフの状態があることが、自然になっているということですね。

つっちー:Z世代とはまた全然違う感覚だと思います。僕らは自己表現の場のひとつとしてSNSの存在があって、感覚としては近いかもしれないです。ただオンとオフがフラットに分け隔てなく存在している感覚は、やっぱり違うところがありますね。

自己表現としてのファッションの変化

あさこ:ロブロックスってゲーム知ってます?息子がどハマりしてて。オープンソースで拡張し続けていて、色んなゲームがあったり、好きなところで遊んだり、知らない人がたくさんウロウロしていて。すごく楽しいって言ってます。もちろん外で遊ぶのも大好きなんですよ。

チャーリー:ゲームで遊ぶのも、外で遊ぶのも分別なく「遊び」の枠なんですね。

あさこ:両方好きなんです。ゲームだとストーリー仕立てよりも「こういう遊び場がある。だから好きに遊びなさい」というのが好き。「公園があります。鬼ごっこしてもいいし、ブランコに乗っても良いよ」というのと一緒なんですよね。だからマリオとかはすぐ飽きてしまいます。

チャーリー:枠組みやシナリオが見えるようなものより、自由度の高いものの方が好き、ということですか。

つっちー:ある種のクリエイターですね。

あさこ:そう思います。

チャーリー:ミレニアル世代の僕から見るとすごく素敵だなと思いました。ミレニアル世代は、セットされているゲームをプレイするど真ん中の世代なんですよね。マルチシナリオのゲームだよと言われても、例えば16個くらいゴールがあるような決められているルールの中で育ってきている実感があります。ちょっと引いて見ると、なかなか狭い範囲で「世の中」を浸透させられている認識があるので、自由度があるような環境に置かれてると人はもっと成長できるんだろうなと思いました。
教育が難しくても、ゲームとか教育以外の場でそれが実現できているのはすごく良いことですね。

つっちー:先ほど自己表現の場がオンラインになった話が面白いなと思って。僕らの世代も、Instagramで自分らしいコーディネートをやろうとか、自分らしい体験を発信しようという姿勢はあります。ただ、それを突き詰めると、自由度ってリアルの世界だと限界があるなと。ある種資本主義的に、持っている人の方が色々な体験をしやすい状況ですよね。
でもオンラインだったり、メタバースの世界だったら、ものを作っちゃうし、作るプロセスさえも自己表現になる。自己表現としてのファッションのあり方も大きく変わるのかなと思いました。

あさこ:前回も話しましたが、そもそもファッション業界の構造自体に大きな課題があるじゃないですか。生産しなきゃいけない、廃棄がどうしても生じてしまう、たくさん消費される、CO2が出る、人道的な問題もある……と色々な問題がある中で、前回おっしゃっていた通り「究極作らなくても良い」になるんですよね。でも、こうした過程がデジタルに置き換わる可能性は感じます。生活に必要な衣服とは別に、自己表現の場としてのファッションがあるのならば、α世代からしてみたらオンラインかオフラインかは問わないようになるんじゃないかなと。

つっちー:しかもα世代のSDGsに対する意識が僕らより高いとなると、環境にいいならオンラインだよねと選ぶことが当たり前になるのはあり得る。フォートナイトの収益を鑑みても、デジタルファッションはますます盛り上がりますね。

チャーリー:(オンラインは)電力の課題があるとは言われていますが、将来的に考えたら電力消費の問題に対して、ハードウェアもソフトウェアも絶対改善するはずなんですよね。だったらなおさら、服を作るエネルギーと比べたら本当にごくわずかになるはずだから、気にしなくても問題ないレベルになるのかなと。

あさこ:前回GANNIを、デンマーク発のサスティナブルなブランドとして紹介させていただいたのですが、やっぱりデンマークやオランダ、北欧ではデジタルファッションのブランドも台頭してきて、スタートアップの資金調達が進んでいます。Z世代がデジタルファッションと自分の写真を組み合わせてSNSにアップするのがヨーロッパでは始まっていて、そこには夢を感じますね。

つっちー:2.5次元だからこそ、普通の服では表現できないことが表現できるということですね。

あさこ:どうせデジタルファッションなのだから、身につけるなら振り切って、サイバーな雰囲気のファッションを、自分の部屋や野原、ストリートで着てしまうような、そうした組み合わせが今っぽいなと思いますね。

チャーリー:例えばルイ・ヴィトンのコレクションで「これ誰が着るの?」みたいな奇抜なファッションを楽しめるのは良いですね。

あさこ:メットガラに出なくても、オンラインなら楽しめますしね。
チャーリー:普段の自分とは違うファッションで、自己表現する選択肢を持てるのは結構面白いです。今回は新しい消費の考え方で話が広がりましたね。

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