ブランドらしさを表現するコピーライティング

ブランドらしさを表現するコピーライティング

こんにちは、FRACTAのOne by One局でブランドアクティベーションプランナーという肩書きをいただいている小山内(おさない)と申します。

プランナー領域/コピーライター領域の仕事を担当することが多く、ありがたいことにブランドさんのVission.Mission.Reasonの言語化や、 ネーミング、Concept、About us 等にあたる文言を書かせていただいております。

過去にこんなnoteも書いています。


今回は「ブランドらしさを表現するコピーライティング」というお題でnoteを書くことになったのですが、残念ながら僕はコピーライターの重鎮でもなければ、TCC新人賞も獲っておりません。ですので、あくまでブランドさん向けの内容、FRACTAでの業務の中で感じていることを中心に書かせていただければと思っております。

広告代理店のコピーライター志望の方は、流し読みしていただけますと幸いです。

デザインや言葉 = 贅沢品?

先日、同業界の先輩とお酒を飲んでいました。先輩が言うには、「我々が提供しているデザインとか言葉ってのは、贅沢品。」だと。

先輩はアートディレクター職なのですが、いつも言葉にトゲがある。「まあ、何となく分かりますけどね〜、次、何飲みますか?」と答えながらも、その先輩の言葉は、僕が新卒で広告業界に入った時から心のど真ん中につき刺さってずっと抜けない、やっかいなトゲと全く同じものでした。
“言葉“や“デザイン“だけでは、椅子も、テーブルも、服も、スマートフォンも組み上がらない。そうなのです。“言葉“に対してブランドさんが投資してくださるお金があれば、いったい何本のネジを発注できるでしょうか。そう考えると眠れなくなり、たった一文字の重みから目を背けられなくなります。

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「ブランドらしさを表現するコピーライティング」
こんなたいそうなテーマが設定された記事で下手なことは書けないのですが、何しろ、僕がこの記事を書いている今はお昼時。無性にカレーが食べたくて仕方ありません。美味しいんですもの。

でも記事を書かなくてはならないので、カレーが食べたい理由を言語化して文字数を稼ぎましょう。

もしかしたら、僕は。

カレーの味がただ単に好きなのかもしれない。むしろ、カレーと一緒にかきこむ白米が最高なのかもしれない。インド人の店員さんが作ってくれる、あの店の雰囲気が好きなのかもしれない。午後の仕事に気を取られ、手短にお昼を済ませたいのかもしれない。カレーを食べた後に、神保町で本を読みたいのかもしれない。ガッといった後の、水で流し込む瞬間が至福なのかもしれない。実家の金曜日、クレヨンしんちゃんを見ながら食べた記憶に引っ張られているのかもしれない。もっと言うと、自分でスパイスを買って作る前段階として、研究目的で食べているのかもしれない。実は普通のカレーじゃなくて、とんかつ屋さんで出てきがちな黒っぽいカツカレーのコクに飢えているのかもしれない。

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何となく思っていたことの裏側には、時に自分ですら気づいていなかったたくさんの可能性が隠れています。
“言葉“の価値って、実はこっちなのかもしれません。

「カレーが食べたいです。」
「カレーが食べたいのである。」
表面上の“言葉“を整えるだけが僕たちの仕事ではありません。

なぜ今カレーが食べたいんだろう?なぜブランドさんはこのモノを作っているのだろう?
徹底的に質問して、想像して、市場調査をして、体験して、書く。
ブランドさんに時折言っていただく、「自分達が本当に成し遂げたいことに気づけて、ハッとしました。」という言葉が、ネジを作れない我々にとって最高の褒め言葉です。

ちなみに僕のカレー衝動に対する答えは、「しょっぱい味のほうが食べ終わった後の煙草が美味しく感じる。」カレーじゃなくて煙草だったんですね。喫煙者の友人を誘ってお酒を飲んで、その後にラーメンを食べたいと思います。

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ブランドと一緒に考える

僕が所属しているFRACTAという会社は、広告代理店から転職してきた経験から見ると少し異様でした。
FRACTAで初めての案件、局長はブランドさんに向かって「ブランドさんらしい“単語“や“画像“を、一緒に集めてみてもらえませんか?」と、宿題を課していました。制作会社時代に言われた「そんなのお前が考えろ!」という言葉がフラッシュバックします。けれど、今では僕もブランドさんにそのような宿題をお願いする時があります。

マーケティング視点やコミュニケーション観点、顧客に「伝わる」言葉を我々が紡ぎ出した後に、その“言葉“を発信するのはブランドさん自身に他なりません。Webサイトに掲載され、プレスリリースに乗り、イベントでマイクに向かって吹き込むその言葉は、あなたから顧客へと伝わります。

だからどうか、僕のせいにしないでください。
正確に言うと、僕だけのせいにしないでください。

Jazzを愛する奥ゆかしいあなたに向かって、Rockの方がモテるからと言い捨てる友人を、僕はRockだとは思いません。
FRACTAは、一緒にJazzの世界に溶けていき、理解し、時には最高のRock盤をエッセンスとして紹介します。

大切な人を助手席に乗せ、熱海の海へと向かう車内で流すプレイリストは、あなたと僕たちが何度も考え、入れ替え、本気で推敲を重ねまくった手書きタイトルのCD-Rが最高にかっこいいのです。

だからどうか、他人任せにしないでください。
クリエイターがさらっと書いた一行よりも、あなたの血であり骨である、あなただからこそ絞り出せた“言葉“じゃないと、社会は振り向いてくれません。

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それと最後に一つだけ。

“言葉“だけのせいにしないでください。

「人を殺めてはいけない」という言葉ですら、その後ろにある刑事罰が機能しなければ、どんな社会になるでしょうか。

あんなにカレーとラーメンの話をしていた僕の目の前に、今まさにオムライスが出現したら、2分後もラーメンのための空腹を守り抜けているでしょうか。

言葉には限界があります。

昔一緒に暮らしていた、捨て猫だった「あくび」は、猫の言葉しか話せません。だけど、僕はたくさんのことをあくびから伝えて貰いました。

姪と甥からもらったほとんど読めない文章が、どれだけ僕の心に響いたか分かりません。

「我々が提供しているデザインとか言葉ってのは、贅沢品。」
この問いに胸を張って宣言できる答えもまだ見つからない。

それでも、ブランドさんが「伝えたい」ことが、社会やチームに「伝わる」手段の一つとして、“言葉“を。
熱海ドライブの車中を、少しでも輝かせるお手伝いのために、“表現“を。

僕は、これからも“コピーライティング“で、ブランドさんをハッとさせ続けるしかないんだろうなと、神田たまごけんさんのオムライスを食べながら思っているのです。


今回はこれまでのOne by Oneチームメンバーによる連載とは、少し異なる角度からお届けしました。

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