FRACTAのプロジェクトで出番の多い「ブランディングフォーマット」。(Lightning Polarisという名前で呼ばれることもあります)
FRACTAのクライアントの皆さまにご記入いただくことも多く、また「どういう考え方で記入すればいい?」「これって合ってる?」等々ご質問をいただくことも多いので、せっかくnoteやってるんだし!ということで、遅ればせながら解説を書いていこうと思いたちました。
FRACTAで、主に社内向けにブランディング関連のサポートやツール開発、研究などを行っている2名の筆者がお届け!全3回くらいを予定しております。
ブランディングフォーマットとは?
②新しくブランドを立ち上げるとき、あるいは、既存のブランドさんも改めてこういった項目を考えることで、ブランドの要素が整理される。また、自分たちのブランドがまだ考えきれていない部分や、メンバー間で考えがバラバラな部分、今後検討すべき部分などが明確になる。
使い方としては、プロジェクトが始まる前に予めクライアントさんに可能な範囲で記入していただきFRACTAからのブランド理解をスムーズにしたり、プロジェクト開始後ディスカッションしながら一緒に埋めていったりなどなど、ブランドさんの状況に合わせて様々な使い方をしています。
FRACTAとのプロジェクトが終わった後も、社内共有資料として活用してますよーというお声をいただくことも多いですね!
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こんにちは!花輪&松岡です。この記事は、
難しいことが苦手キャラが、ブランディングフォーマットを説明してみるとこうなる。
・松岡
どうしてもお堅い説明になってしまうキャラが、わかりやすい説明をしようと試みるとこうなる。ブランディングフォーマット作者。
という感じで、2名それぞれの視点から、デフォルトの解説文には入りきらなかったお話を改めて考え、対談形式で書いていこうと思います!
あっ、ちなみにブランディングフォーマットは無料配布しているので、よろしければお使いください。
それではさっそく解説していきます。
■ 「思想」エリア全体の解説
花輪:「思想」エリアの解説・・!
ん〜、「思想」エリアはブランドが持っている"不屈の志"を記入するイメージですね・・!ブランドさんによっては、使命感を感じるものかもしれませんね..!
松岡:
不屈の志...っすか笑
花輪:
ちょっと厨二病っぽいですかね!??笑
河野さん(弊社CEO)のお話を聞いていてそう思ったんですよね。コロナを経て生き残っているブランドさんたちのお話だったり、D2Cとして支持されるブランドさんのお話だったり...
たとえどんな環境になろうと「これだけはなにがあっても貫き通すんだ!」という確固たる意志や情熱が共通していたな〜、と思ったのが私の所感でした。
その確固たる意志や情熱がどこから湧いてくるかな??って考えた時に、ブランドの使命感だったり、ブランドを立ち上げた際の「想い」に行き着くんだろうなと考察しています。
あ、でも、時代や環境が変わっても「絶対に自分たちの”やり方”を変えるな!」という意味ではなく自分たちの志と時代や環境の変化を上手く共存させよう!というニュアンスかなと思います!
松岡:
なるほど、確かにそうですよね。
ブランド運営の中で、色んなことを決断したり挑戦したりするタイミングが訪れて、時に心折れそうになったりする。けど、最後には意志や情熱がブランドを前進させてくれるんだと、色んなブランドさんを見てて思います。私自身の仕事を振り返ってみても(ブランドを運営してはいないですけれど)同じような実感があります。
松岡:
さて、私の考えを述べる番ですね。
「思想」は、ブランドの出発点だと思っています。また、D2Cブランドの場合は特に、いろいろな決裁の際の最終的な判断はこの「思想」的なことによって為されることが多いので「判断基準」という機能も持ちます。(もちろん「思想」的なこと以外で判断が下されることもたくさんあります)
花輪:「ブランドの出発点!」確かに・・!!!(「不屈の志」を撤回したい・・!)これからまさにブランドを立ち上げようと考えている方がいらっしゃったら、今構想されているその想いをそのまま記載いただきたいですね。また、すでにブランド運用されている企業さんの場合は、立ち上げ当時を思い出しほしいです。「今もやっぱりブレていないな・・!」と思う志を記載いただくのがいいかもしれませんね^^!
■「Vision」の解説
松岡:では、「思想」の中のひとつめ、「Vision」にいきましょう!
花輪:はい!私は「ブランドが不屈に追い続けられる、未来像。」と考えてみました!
松岡:再び「不屈」きましたね。
花輪:...照
松岡:
私は「実現したい世界」という感じに思っています。ブランドの目的地です。10年後なのか30年後なのか、時間のスケールはブランドによりけりです。ブランドに合うスケール感を、このブランディングフォーマットを記入するメンバーが判断するのが良いでしょう。ある時までにブランドが達したい世界を記載します。
Visionを考えるにあたり、おそらくいろんなギモンが湧き上がることだろうと思います。例えば「これはVisionなのか?」「こんなVisionでいいのか?」...等々。そんなときはVisionを「目的地」と捉え、まずは、「このVisionで自分が納得するか?」「このVisionでブランドの仲間から賛同を得られるか?」というところから考えてみてください。
花輪:はー!なるほど!ブランドの出発点(思想エリア)に立ち、目的地(Vision)を考えてみるということですね!わかりやすいです!
松岡:そうそう、そんな感じです!
■「Mission」の解説
松岡:
Missionて、ひょっとしたら”Vision”や、この次に出てくる”Reason”とかよりも馴染みが薄い言葉かもしれないですよね。そして言葉だけ見るとなんとなく、すごそうというか、大層なことのように思えるかもしれません。でもそんなに大仰に考えなくて大丈夫です。
さてブランディングフォーマットにおいてはどのように考えるか。花輪さん、はい、どうぞ!
花輪:
直球に..「未来像を追い続けるために、成し遂げたいこと」ですかね!
松岡:
あ、私もそんな感じの言い回しになりました。
Visionが実現したい世界とすると、Missionは「その世界を実現するためにやり遂げるべきこと」です。ほぼおんなじですかね。
Missionは、そのブランドやブランドの中の人々の「事業内容」や「業務内容」の指針となり、日々の仕事に直結します。ですので、「自分たちはどんなことをするのか」がイメージできるように記載することで、より有意義なMission策定となります。
すっごくざっくりな例えを書くのですが、例えばVisionが「日本の人々を笑顔にする」と言った場合、
「(Vision:日本の人々を笑顔にする、なのでそれを達成するために)
Mission:最先端の技術によって革新的な道具を作り続ける」
といったような感じで、その会社/ブランドの事業内容を絡めて、ある程度具体的な手段や仕事を記載すると良いでしょう。
花輪:なるほど、なるほど!
思想エリア:ブランドの出発点に立ち、
Vision:目的地を考え
Mission:目的地の世界を実現するためにやり遂げるべきことを考える
ということですね!
■「Reason」の解説
松岡:今記事最後の項目はReasonです。Reason、なんと表現しますか?
花輪:不屈に追い続けられる理由...とか・・
松岡:再び現る...「不屈」は、花輪さんにとってブランディングフォーマットでは重要なキーワードっぽいですね!
確かに、ブランディングは継続的な活動で、運営していくなかで壁や課題は沢山出てきますから、「心折れない」ってすごく大事なことですよね。
花輪:そうですね〜!今回”は”「ほぼ不屈」で縛って考えましたが、気分屋なので明日には「不屈」から離れているかもしれないです。。
他の言葉でまとめるなら「原点」、「ブランドが信じ続けられること」とも置き換えられる気がします・・!
松岡:
笑。
さて私の視点による話ですが、ごめんなさい、ここ結構語ることあるので、めっちゃ長くなってしまいそうです...
ビジョン、ミッション、とくれば一般的にはValue(バリュー)ですが、Valueを抜きました。というのは私の中で、これを作った当初も、今現在も、「ブランドのメンバーの中で、価値観を揃えるべきなのか?」というギモンがあるためです。
ブランドには色々な人がいるはずです。ものの考え方は違って良いと思いますし、違うからこそいろんな視点を見つけられ、より有意義な議論が生まれたりします。ブランドには必ず時代に合わせ変化させるべき部分が生まれてきますから、ときには考え方や見せ方を調整しなければならない場合もあるでしょう。
「価値観」は、ひとりの人間の行動を決定する根源的な要素だと私は考えています。ブランドとして望ましい「行動」はある程度ルール化する必要があると思いますが、その大元である「価値観」まで、「こうでなければならない」「こうあるべき」と決めるのは、果たしてどうなんだろう…というギモンが解消されず、項目から外しました。
一方、Reasonという項目をここに追加したのは、ブランドの中のメンバーや外部(顧客含む)とのコミュニケーションにおいて必要だろうと思ったためです。一般的には「WHY」と言われているものです。普段のコミュニケーションにおいてみなさんも感じていらっしゃることだとは思いますが、何かを誰かに依頼したり、行動を起こしたいなというときに、「なぜあなたに頼みたいのか」「なぜこれをしたいのか」も一緒に伝えると、格段に相手が納得してくれやすくなりますよね。
それと一緒で、「なぜ、自分たちはこれを実現したいのか」というReason(Visionを掲げる理由)があることによって、Visionへの納得感が増し、ブランドのメンバーからも外部の方々からも共感が得やすくなります。今は特に、ブランディングの活動は、一度作ったブランドを、ステークホルダーと共に練り上げ、より良い形にしていきながら成長させてゆくのが望ましい形です。そのためにブランドへの共感を得ることは必須で、したがってVisionを目指す「理由」もちゃんと自問自答すべきですし、また他者に伝えるべきだと私は思うのです。
花輪:なるほど、そんな経緯があったんですね!目的地(Vision)と目的地にいくために成し遂げるべきこと(Mission)と、目指す理由(Reason)が揃っていれば、あとは一人一人がオリジナリティを持って前進していこう。というニュアンスでしょうか?
松岡:
ハイそんなかんじです!とはいいつつ、Valueの話に戻ると、会社やブランドは組織であって、集団行動的な要素が絡んできますから、ある程度意識が揃っていないと困る、なんてことがありますよね。そこが難しい。
一人一人のオリジナリティはあり、「価値観」みたいな根っこの部分はみんな違って然るべきだけれども、この会社/このブランドに属しているならこういう風に考えようね、行動しようね、みたいな了解(行動指針みたいなもの)はどこかで設定しないとなぁと思っています。
※実は「行動指針」という項目をブランディングフォーマットに追加すべきか、今検討中です...
最後に
花輪:こないだ社内スタッフの意見を聞いて、私たちとはまた別の視点があっていいな〜と思うものがあったんですよね。そのお話を私なりに解釈して要約すると
・Mission:「自分たちの価値」と「お客さんの求める価値」の最高合致点
・Reason:どうして、Mission/Visionを達成したいのか?
「自分たちの最大限の力で、お客さんを最大限満足させると、結果的に世の中の何か(Visionにあたるもの)が変わる。」って考え方なのかな〜と解釈しました。
Visionから決めにくい時は、この考え方でチャレンジいただくとVisionを紐解くことができますね!
松岡:
ああ〜、ナルホド!VisionをA、MissionをBとした場合に、
今までの私たちの話は、「Aをしたい、そのために必要なのがB」だったけれども、そうではなく、
「すべきこととしてBがあって、Bを実現すると見える世界がA」って感じですかね!?その考え方も素敵です。
私たちがブランディングフォーマットにガイドとして書いている説明文も、この記事でお伝えしていることも、ほんの参考程度ですから、ぜひそれぞれのブランドにあった考え方で書いて欲しいです!そしてこんな考え方で記入してみた!みたいなフィードバックがあれば、ぜひ教えていただきたいですよね!
ということで、今回は、FRACTAブランディングフォーマットの「思想」エリアの解説をしてみました!次は「市場・顧客」エリアをお話していこうと思います!
お楽しみに〜!