【EXPOトークセッションレポート】 梅体験専門店「蝶矢」が考える、これからの時代の顧客体験

【EXPOトークセッションレポート】 梅体験専門店「蝶矢」が考える、これからの時代の顧客体験
こんにちは、CSV局の花沢です。2023年6月28日(水)〜6月30日(金)に東京ビッグサイトにて日本最大のコンテンツビジネス総合展【コンテンツ東京2023】広告クリエイティブ・マーケティングEXPOが開催され、FRACTAではプロジェクトを共にしたブランド担当者さまをお迎えしたトークセッションを実施しました。本記事では、CHOYA shopsさまをゲストに迎えた回のレポートをお届けします!


FRACTA Professional Service事業本部 事業管掌役員 南茂をモデレーターに、CHOYA shops株式会社 菅氏がスピーカーとして登壇。創業より梅の魅力や新たな発見を提供し続けているチョーヤ梅酒株式会社の知見を生かし、日本の梅文化を現代的なスタイルで提供する梅体験専門店「蝶矢」の、アフターコロナにおけるECサイト/実店舗での顧客体験設計についてお話いただきました。


 ーまずは蝶矢について教えてください。

菅氏:日本の梅文化を現代のライフスタイルに合わせて提供する梅体験専門店です。 創業から100年以上に渡り梅の魅力や新たな発見を提供し続けているチョーヤ梅酒株式会社の知見を生かし、体験を軸とした梅の新市場を創造することを目的として2018年に立ち上がりました。お客様自身が好みの梅と砂糖をセレクトしてオリジナル梅酒や梅シロップをつくる体験が人気です。

https://choyaume.jp/

ー今回のセッションはアフターコロナの顧客体験設計がテーマです。5月8日から新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行されましたが、実店舗とECサイト双方がある蝶矢さんでは売り上げなどに変化はありましたか?

菅氏:実店舗はかなり戻ってくるという予測はしておりまして、実際に5月8日以降の売り上げを見ると、前年比110%超えで伸びておりました。一方、ECサイトは少し下がるかとみていたのですがこちらも前年比120%と伸長していました。ですので、うちのお店に関しては実店舗もECサイトも伸びるという結果でした。

ー相乗効果で伸びているんですね。

菅氏:うちのECサイトはFRACTAにリニューアルの構築支援をしてもらいましたが、実店舗のご予約を取られたお客様がサイトでもすぐにお買い物できるようになっていたりするので、実店舗の情報を見にきた方が増えると同時にECサイトの閲覧数も増えるという相乗効果はありますね。

 ー実店舗での購入とECサイトの割合はどれぐらいでしょうか?コロナ禍を経て変化はありましたか?

 菅氏:大体、実店舗が85%、ECサイトが15%ぐらいの売上構成比です。コロナ禍でもここの変化はそれほどありませんでした。元々実店舗とECサイト双方を運用していることもあり、OMOの意識はずっとしてきたので、コロナ禍で特別意識したということもなかったですね。 

ー以前から実施されている施策がお客様に受け入れられているのですね。では実店舗での実際の様子を伺いたいのですが、ここではどんな接客をされていますか。 

菅:店舗には梅コンシェルジュという、梅の専門知識を持ったスタッフがおり、スタッフ一人ひとりが店舗でお客様のお好みや相談に乗りながら素材選びのサポートをしています。それぞれの梅の味の違いをテイスティングしていただきながらお好みを選び、厳選素材で自分だけのこだわりの梅シロップ・梅酒を手作りできるという体験設計です。

鎌倉店の外観。公式サイトより引用。

 ー店頭接客ができない期間にECサイト上で実施した施策がありましたよね。

菅氏:素材選びや梅コンシェルジュとの相談などの実店舗での体験が、サイトだとどうしても店舗と同等のクオリティでは提供できないという課題や葛藤はありました。そこで、パーソナル診断をアプリで導入したんです。現在では、ECサイトで購入されるほとんどの方が診断をお使いになっています。意外だったのは、実店舗に来られるお客様もご利用いただいていたこと。店舗では梅コンシェルジュと対話できるので、診断は当初必要ないと思っていました。けれど、店舗予約(通常約2週間前に予約をお取りいただきます)をしてから来店するまでの期間にオンライン上で診断を行い、「自分は何を作ろう、どんな組み合わせにしよう」と楽しみながら体験への想像を膨らませてお越しいただく方がとても多かったんです。これは予想外でした。

ーこれがある種、蝶矢さんにとっての象徴的な体験となっていったのですね。 

菅氏:そうかもしれません。うちは100通りの素材の組み合わせがあるので、選ぶのに時間がかかることも非常に多いんです。でも、皆さん笑顔で悩まれている。つまり悩んだり選んだりする過程をとても楽しんでいる、ということを店舗のお客様の様子から感じていました。一方、ECサイトで診断を導入する前は梅の味の違いや好みなどが見えづらく選びにくい部分もあったと思うので、診断によってそこの満足度はかなり上がったと思います。お客様アンケートで自由回答欄があるのですが、そこに「楽しく商品選びができた」など「楽しく」というワードが増えたことからも伺えますね。

ーECサイトで楽しくお買い物できる、というのは簡単に聞こえて実はとても大切です。サイトではユーザーがほしい情報に迷わずたどり着くことが定石とされている部分もあるので、ブランドを好きになってもらうための施策として、あえて迷わせて実店舗とECサイトの相乗効果をうまく設計されているなと感じます。 

パーソナル診断の組み合わせを診断する画面

ーECサイトにおいて、商品の購入や店舗の予約までにお客様が閲覧することの多いページの傾向などはありますか?

菅氏:診断アプリ以外では、梅の味わいチャートで直感的に選べるようにしたり5つ星で梅の酸味や甘みを評価して比較できる表を作ったりしましたが、「梅の味と香りから選ぶ」というページを見ている方は非常に多いです。

ー下調べが重要というわけですね。体験としては実店舗が最も重要だという感覚があったかと思いますが、これまでで実感値として感じる部分はありましたか?

菅氏:コロナ禍でショールーミングのような売らないお店にトライしたり、店舗で商品を購入し、持ち帰る方にECサイトを送料無料として勧めたりしたのですが、売り上げにはつながりませんでした。でも、郵送サービスー店舗から宅急便で送れます、というのを訴求したときはものすごく売れたんです。送料もいただきますし、手書きで住所を書いていただく手間もあるのに。ECサイトでは住所やカード情報などの入力で離脱しているのかなと思いましたが、リアルなお買い物体験の強さを実感した瞬間でした。

ー不思議ですよね、やっていることは同じはずなのに。実店舗でもECサイトでも利便性より体験のあり方ということかもしれません。 

ーFRACTAとプロジェクトを実施してよかったことがあれば教えてください。

菅氏:技術の進化は本当に早いので、いかにその情報をすばやく取得してサイトの改善に繋げていけるかが鍵だと思います。FRACTAはそこをサポートしてくれるので、ITやECの知識がないメンバーでもサイト運用を継続できています。 特に改善のスピードはぐーっと上がりました。

 ー最後に、今後のECサイトでの展望はありますか? 実店舗でのお買い物体験と併せて伺えたら。

菅氏:ECサイトでは今後、配送や決済まわりを改善予定です。このあたりはカートごとに手順や入力フォームなどが若干違いますよね。例えば、配送の日時指定ページが前にあるか後ろにあるかとか。これだけでも入力漏れが発生したりするので、入力の煩わしさをいかにスマートにするかは肝だと思っています。

実店舗との紐付けとしては、コンテンツの充実を考えています。ECサイトではブログのなかで、梅酒を作った後の梅の実の楽しみ方や商品ごとの楽しみ方などを載せているのですが、このライティングは全て店舗の梅コンシェルジュが担当しているんですね。実店舗での接客はうちの文化ともいえるのですが、お客様にも親切、丁寧とおっしゃっていただくことも多い。そうした人の温もりのようなものを、オンラインでも感じてもらえるようにしたいと思っています。 

 

蝶矢さんはオンライン・オフラインに対してニュートラルに取り組まれており、取捨選択の判断がつきやすい、ということもあったように思います。そうしたところでFRACTAをうまく活用いただいた事例としてご紹介させていただきました。菅さん、ありがとうございました。

蝶矢さんの事例詳細はこちら:https://fracta.co.jp/blogs/projects/choya

FRACTAではブランドのOMO戦略設計やオンラインコミュニケーション設計を支援していますので、蝶矢さんの事例をみて興味をお持ちいただいた方はぜひお気軽にお問い合わせください◎